東海道本線旧線(根府川〜真鶴間)後編
 東海道本線根府川〜真鶴間。
 東京を出た東海道本線がそれまでの平穏な都市と郊外の風景から一変して断崖と一面の太平洋の景色に変わる印象深いこの区間だが、1972年にルートの変更が行われ3本の隧道を含む旧線区間が山中に眠るという。

 夏草

 夏草に埋もれる旧線。

 僅かに四輪の轍が見て取れるが、現状で保線関係の車両の通行もありそうにない。
 古そうな缶コーヒーの空き缶。

 調べると1995年頃の物のよう。

 保線関係者が捨てたものか、あるいは過去の探索者か。
 蔓草に呑み込まれつつある架線柱。

 なぜか今までに見たものよりもサビが進行しておらず、コンクリート柱の新しい雰囲気で不思議

 
   単線分のガーター橋に鉄板を敷いて通路としたもの。
 山側にはもう一本橋梁がある筈だが、草に埋もれ確認できず。

 絶景そして隧道 

 進行方向右手にはこの絶景。

 幾多の乗客が目にした東海道本線の車窓の風景だと思えばさらに感慨深い。

 
 藪 藪 藪 しかし行く手には目指す隧道が。
 赤沢隧道 

 画像の通り、「眼鏡トンネル」として名高い。

 この明かり窓、安全確保や資材節約の為などではなく、当時の国鉄がこの海沿いの絶景が失われるのを惜しんで設置したという記述を見たが、本当だろうか。
 碍子がひとつ。

 いかにも昔の隧道といった感じの角の取れたバラストもそのまま。
 

 隧道内

   途中からは古レールの補強がものものしい。
 この隧道の地質の不安定さが新線への切れ替えの要因になった事は間違いないだろう。
   夏の日差しが古の隧道内へ差し込む。

 探索当時から5年近く経ってからこの記事を書いているが、改めて印象に残る光景。

 補強が明かり窓にかかっている辺りなど、中世の西洋城郭の回廊を思わせる造形だ。
 中間地点まで来ると、地質も安定しているのか補強も無くなる。

 保線車両が残したものと思われる轍が多数確認できるが今まで見た通り、現状車両の通行はないようだ。
     まもなく出口が近づく。
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 隧道の外にはロックシェードが続いている様子が見て取れる。

 明かり窓が大きくなっている箇所は退避坑を兼ねているのだろうか。
 
 
 


 ロックシェード

    造形自体は現役でもおかしくな造りだが、年季が入っていることは間違いない雰囲気。
   ロックシェードを外から。

 複線幅の構造は一見すると廃道のような雰囲気もあるが、天井部分の肉厚さは目を引く。
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 やがて左手方面から現在線が近づく。

 合流地点は夏草に覆われているが、もう少し進む。
    現在線の真鶴トンネル。

当然ながらそれなりの頻度で通過する列車からも丸見えであり、早々に引き返す。