日本縦断西日本編13日目【平成16年5月11日】　益田駅(島根県益田市)⇒朝日屋旅館(山口県長門市)

日本縦断西日本編13日目【平成16年5月11日】　益田駅(島根県益田市)⇒朝日屋旅館(山口県長門市)

前回と同じく、今日もまずサンライズ出雲で岡山まで行き、新幹線とスーパーおきを乗り継いで益田へ向かう事になっている。

予定通りに行っても益田着はで前回のように列車が遅れるような事になると非常に良くないのでなんとか順調に行って欲しい。

サンライズ出雲のノビノビ座席は前回ほどではないが空いていて客は10人ほどだ。願いが通じたか、列車は定刻通りに走り無事に岡山に到着した。

　岡山からのひかり「レールスター」の乗客は出張のビジネスマン風がほとんどで、岡山の時点ではまだ席に余裕があったが次の福山で大量に乗り、通路にまで人が立った。

新山口からのスーパーおき1号も、のどかな風景の中を順調に走り定刻通り益田に到着した。

今日は予報では晴れるらしいが、どうも空は厚い雲に覆われている。まぁ雨さえ降らなければ別によいのだが。

30分ほどで自転車を組み立て1118、出発。今日はまず、昨年廃止され今は南関東専用場外になっている益田競馬場に寄ろうと考えている。

下関へ向かう国道191号に入り、市街地を10分ほど走った所に見覚えのあるバス停があった。細い道を入り山陰本線の踏切を渡ると、小さなスタンドが見えてきた。

益田競馬場には数年前に一度来た事があるが、その頃は「地方競馬を廃止しようとすると補償金が大変だからたとえ赤字がかさんでも廃止にはできない」という説が支配的で、こんなにあっさり次々と廃止になるとは誰も思っていなかった。

スタンドは場外施設として使われていて、当時と全く変わらないが一年間放置されたコースには雑草が茂り廃止の現実を感じさせる。

　
　今日は船橋競馬の場外発売が行われているようだったので、初めて入る元特観席の新スタンド3階へ向かう。狭いフロアは地元のお年寄りで賑わっていて、なんだか門別競馬場のスタンドを思わせた。

　せっかくなので、1レースやってみることにして3Rの馬券を少々購入したが、勝ったのはナカガワなんて名前の馬で当たらなかった。

既に時間は13時近くになっているが、今日の目的地の長門まではまだ70㎞以上あるので、少し寄り道を減らし走る事にする。

　やがて国道は海岸沿いの平坦な道になったが、向かい風が結構強くあまりスピードが出ない。今日最初の駅、戸田小浜は少し内陸に入った所にあり、民家の様な駅舎に地域の施設が同居していた。

この先は山口県との県境地帯で、民家の少ない山の中を進む。峠道を登ると約1000mの人形トンネルがあり、内部は未改良で狭くキツそうだったが、ほとんど車と出会うこともなく意外に楽だった。

　峠を下りきって山陰本線が国道を跨ぐ手前に飯浦駅はあった。狭い急坂を登った所にあるこの駅には、古い木造駅舎があり内部もかつて有人駅だった面影を残しているが、正面に「飯浦駅」と表記されていない。

国道はここから再び登りになり、峠のトンネルを抜けた所が山口県だ。このトンネルも長く狭いが、ちょうど工事をしているようで片側通行になっており、安全に抜ける事ができた。

山口県に入って最初の駅、江崎は国道から少し離れた集落にあった。ここには、青屋根のいかにも「駅舎」らしい駅舎があり正面の大きな木と相まって結構、絵になる雰囲気だ。

　しばらく走り、国道191号に戻り久しぶりに平坦な道を行くとやがて須佐の市街地に入る。須佐駅はこの辺りでは珍しい最近改築された駅で、思わず一度通りすぎてしまった。

須佐は「ホルンフェルス大断層」が有名で相当に迫力があるそうだが、いかにも自転車向きの場所でないし時間もないので今回は諦め、半島の付け根を長いトンネルで越える国道を行く。

緩い登りがしばらく続いたあとに「前座」の須佐トンネル（約700m）があった。ここも内部は狭く登りが続いていて、スピードが出ないが余り車に出くわすことなく抜ける事ができた。

登りはまだ続き、そろそろ押したくなってきた所に本命の大刈トンネル（約1500m）はあった。どうも中で工事をしているようで片側通行になっており、入口に信号が設置されていたがさすがに長いトンネルだけありなかなか青にならない。

数分待ちようやく中に入ったが、後ろから続々と車が来てかなりスリルがある。しばらく行くと右車線側の照明を変える工事をしており、そこでストップをかけられた。

どうやら既に反対車線側の車を通しているようで、しばらく待つ事になった。このトンネルにはこれだけ長いというのに排煙装置がなく、工事車両の排気ガスが溜まり息苦しい。しかし今入ったばかりの俺でさえそうなのだから工事の人は相当大変だろう。

ようやくトンネルを抜けると道は下りになり、日本海へ向けて一気に下った。国道が海岸沿いに進むようになると宇田郷駅はあった、ここはまるで民家のような建物で、宇田郷駅という表記も無いので、ちょっと駅に見えない。

次の木与駅との間、国道は日本海の眺めが素晴らしいコースだが山陰本線は長いトンネルに入ってしまう。しかしかつては線路も海沿いを通っていたようで短いトンネルの入口や路盤の後が残っていた。木与駅はカラフルなコンクリート製の改築駅舎で、周囲の民家も遠く一見野宿にも適していそうだが、この辺りにはあちこちに「不審船に注意」という看板があり、避けたほうが良さそうだ。

この先の小さな峠を越えた先にある奈古駅には、先ほど寄った江崎駅に似た木造駅舎があり、青地に白で書かれた駅名と良く似合っていた。この青い駅名の看板は山口県内の多くの駅にあるようだが、古い駅舎にも新しい駅舎にもマッチしてなかなか良いと思う。

　
駅のすぐ先には道の駅「阿武町」があった。看板には「全国道の駅発祥の駅」と書かれていたが以前通った鳥取県の道の駅「大栄」は「道の駅登録第一号」を名乗っていて、いろいろ事情がありそうだ。

ここは物産館やレストランのある普通の道の駅だったが、道路情報コーナーは改装中でスタンプが押せず残念だ。

この先、国道191号と山陰本線は共に日本海沿いの道になり、追い風に乗って眺めの良い道を快走する。次の長門大井駅は、木造駅舎のかつて駅事務室だった部分がヘアーサロンカネコという理髪店になっていて、床屋のシンボルが回っていた。また待合室には大量の盆栽が置いてあったが、店主の趣味だろうか。

　
　

　引き続き海岸線を進む国道と、内陸を通る山陰本線が再び近づく辺りにあり崖にへばりつくように建つ越ヶ浜駅は既に萩の市街地が近く、通学の高校生の利用が多そうな駅だ。

ホームへ登る階段の脇には屋根付きの駐輪場がありたくさん停められていたが、良く見るとブリヂストンの高級シティサイクル「ラクッション」ばかりで、単に流行っているだけなのか、別の理由があるのか、不思議だった。

漁港にあり、海産物が豊富な道の駅「萩しーまーと」に立ち寄り阿武川を渡ると、すでに市街の中心部は近く交通量も増え走りづらい。観光地萩の拠点駅東萩には1713、到着。萩城をイメージしたという二階建の大きなコンクリート駅舎があり、久しぶりに都会に来た気がした。

市街地の外れにある萩駅は、白壁の洋館風駅舎で有名な駅だが現在では隣りの小さな建物が正式な「萩駅」で、かつての駅舎は博物館になっていて既に閉館時間が過ぎており入ることが出来なかった。

次の玉江駅は赤い屋根の木造駅舎が県道に面していて、「この先大型車通行止」という標識がすぐ近くにあった。その通り、県道はあっと言う間にすれ違い困難な一車線の細い道になる。

　断崖から眺める夕日は感動的で、こういう車では来づらい場所も平気な自転車で旅をしてよかったと感じた。県道は岬の付け根を越える峠道になり、ますます細くなる。全くすれ違う車は無く、分岐もあって不安だったが無事に三見の集落に出ることができた。

高台にある三見駅は下校の高校生で賑わう古い木造駅舎が夕日に照らされ、印象的だった。県道は再び断崖の道になり、遥か下に海面を望む。

　三隅町との堺にある飯井駅は片面ホームに待合室があるだけだが、ここの集落の人々には貴重な駅だろう。既に日は暮れかかっていて、再び登りになった道を急ぐ。

今日最後の峠を越え国道191号の旧道と思われる県道に入ると、地域の施設と同居した長門三隅駅はすぐ近くだった。すでに1930近いがさすがにこの辺りまで来ると日が長く、駅舎をきれいに撮影する事ができた。

長門市の市街地は目の前なはずだが、道は以外に暗くライトを灯けて慎重に進む。

久しぶりに国道191号と合流するとようやく市街地に入る。線路を渡りすっかり日の暮れた2000、長門市駅に到着。これから宿探しで時間も遅く、苦戦を予想したが最初に電話した駅前旅館にすんなり泊まれる事になりほっとした。

本日の走行距離102.14km 走行時間8.37.24 平均速度11.8km 最高時速44.3km 自宅からの走行距離1403.24km以上(推定)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　