日本縦断西日本編16日目【平成16年7月28日】中津駅(大分県中津市)→豊の国健康ランド(大分県大分市)

 前回、前々回とガラガラだったサンライズ出雲のノビノビ座席もさすがに今日は、ほぼ満席の盛況だ。

  今回は、このサンライズで前回と同じく岡山まで行き山陽新幹線を経由して小倉でソニックに乗り換え中津に到着する予定になっている。
東京をもう少し早く出発できれば、のぞみから富士への乗り継ぎも可能で一時間ほど早く着く事ができるのだが、残念だ。



 列車は順調に走り、定刻通り朝の岡山駅に到着した。乗り換えたひかり「レールスター」は日曜日のせいか、サンライズとは逆にすいていたが、どういう訳か窓の外側が非常に汚れていてトンネルばかりな山陽新幹線とはいえ少々気になった。

  長い新関門トンネルを抜け到着した小倉駅はまだ1000前だというのに相当な暑さだ、しかし予想していたことで前回のような雨よりはましだ。
  在来線のホームに降り、ソニックを待っていると向かいのホームに数年前に電化された筑豊本線に直通する電車が入線した。

  以前のすすけた気動車とは180度イメージが違うブラックフェースの車両はいかにもJR九州らしい。
 やってきた「白くない」ソニックは向きを変え、海沿いを順調に走りあっという間に中津に到着した。

 

 前回自転車を分解した場所で組立て、三十分程で準備が整い大分方面へ向け出発する。

   走り出して10分もたたない住宅街の交差点でブレーキをかけると、妙な感触が右手に伝わった。調べてみると見事に前ブレーキのワイヤーが切れていた。
  「なんでこんな時に」という感じだが、途中に自転車屋はあるだろうし暫くは平坦な道が続きそうなのでリアブレーキだけで行くことにする。

 今日最初の駅、東中津は海沿いの県道から少し入った住宅街にあった。手入れのいい木造駅舎がある雰囲気の良い駅だったが、コカコーラのトラックが止まっていて少々撮影しづらかった。しかし自販機にはいつも世話になっているのであまり文句も言えないというものだ。

 

 県道に戻り、控えめのスピードで慎重に走っていると次の今津駅への分岐を通り過ぎてしまった。年期の入った木造駅舎があったはずで少々残念だ。
  道は宇佐市に入ると水田地帯を進むようになり、だいぶローカルな雰囲気になってきた。そんななかに「双葉の里」という施設があり、入場無料とあったので寄ってみると大横綱双葉山の記念館で、昔の写真や番付など展示も充実していて無料なせいもあるのか、結構にぎわっていた。

 

 天津駅はそこから県道を外れ立派な農道をかなり入った所にあり、水田の中に無人の駅舎がポツンとある静かな雰囲気の所だった。
  地図を見ると、この先は線路沿いに進む道がありそうなので行くことにする。

  水田の中の農道はやがて集落の民家の軒先をかすめるとても細い道に変わったが、自転車でならば大した問題ではなく無事に次の豊前善光寺駅に到着する。昔の雰囲気を残す立派な木造駅舎には駅員がいるようで、駅前の植木はよく手入れされている。

 

 県道が海岸線に近づくとやがて柳ヶ浦の市街地に入る。結構賑やかな駅前には自転車屋があったのでブレーキを直せるか聞いてみたが、部品が無く無理でこの先しばらくは(直せる)自転車屋も無いだろうとの事 。

  仕方ないのでそのまま行くが、この先は少々アップダウンがありそうで心配ではある。次の豊前長洲駅は通りを入り込んだ解りづらい場所にあり、利用者は多くはなさそうだ。駅舎は荒れており、駅前の商店も営業していない。

  市街地を抜けると、水田地帯を走るようになる。途中白鷺が大量に群れている様な所も通り久しぶりに国道10号に合流する。

  宇佐駅は宇佐神宮への最寄り駅で、駅舎も観光客を意識した造りになっているが駅前は以外に静かで自転車屋もありそうな雰囲気ではなかった。
  この先はいよいよ山越えの区間になるが、片ブレーキで怖いのは下りで、峠までは特に問題ない。

  町外れには出光という所があったが、すぐ先にはシェルのスタンドが建っていてなんだか面白い。

 次の西屋敷駅は、国道沿いに片屋根の待合室があるだけの駅だが上下線のホームが独立していて、待合室側にある下り線のホームからは直接上りホームには行けず、相当遠回りしなければならないという変わったところだ。
 しかしまあ普通の利用者はホームを行き来する必要はないのだろうが。


  西屋敷を過ぎると、ようやく峠らしい雰囲気になってきたが勾配よりも絶えず追い抜かれる大型車のほうがむしろきつい。

  峠を越えると国道は一旦平坦になり、離れていた日豊本線の下り線をまたぐと西屋敷から離れていた上下線が合流する立石駅に到着する。
  コンクリート製の立派な駅舎がある立石駅だが、無人化されて久しいようで待合室のガラスも無く無惨に荒れている。

  ようやく下りになった道を慎重に進むと杵築駅へ向かう県道との分岐にさしかかった。標識には大型車通行止と書かれていたが、自転車には当然関係なくむしろ交通量が少なく走りやすいだろう。

 
 結構なアップダウンのある細い道を進み、武家屋敷風という感じの立派な駅舎がある杵築駅に1613、到着。城下町の杵築市街地はここから相当離れた海沿いにあるのだが、駅にはタクシーも多く意外に賑やかな感じだ。

 次の大神駅は離れていた日豊本線と国道10号が合流した少し先にあった。国道から少し入った所にある無人の駅舎はひっそりとしている。

  この辺りから別府への通勤圏に入ったようで、交通量も増えてきた。近年新設された暘谷駅は、そんな市街地にある通勤駅のはずだが、通り過ぎてしまい残念だ。
  国道が海に近づくと豊後豊岡駅に到着する。木造平屋の駅舎はなかなか趣があり、今までの山の中の駅と違い明るい雰囲気だ。

 
  ここから先国道10号は日豊本線と併走して、しばらく別府湾沿いを行く。よく考えると九州に入ってから海沿いに走るのはこれが初めてだ。

  温泉街の入り口、亀川駅に1751、到着。駅舎は古い木造だが、さすがに観光地らしい雰囲気が漂っている。

  このまま国道を直進すれば別府市街地を通って大分に着くのだが、せっかく別府に来たのだから温泉街に寄ってみようと考え細い坂道を登り始めたのたが‥。
  登りのキツさは予想以上で、途中からは時々押すようになってしまった。

 
 やっとの思いで湯煙漂う温泉街に辿り着いたが、急斜面に広がる温泉街を片ブレーキの自転車で移動するのは不可能で押しても怖いほどだ。
 「かけ流し」ではない公衆浴場で汗を流し、すでに夕暮れが近づいているので早々に出発する。

  国道に戻り、海沿いをしばらく行った先にある別府駅は高架の大きな駅だが以外に温泉のイメージは薄く、普通の地方都市の駅といった感じだ。

  次の東別府駅は国道沿いにあるのだが、少々解りづらい所にありしかもこの辺りの国道10号には横断できる所がほとんど無いこともあって、少々手間取った。
 
そんな東別府駅だが最近文化財に指定されたという木造駅舎はクラシックな雰囲気に改装され、なかなかに夕日に映える。
 

 この先別府の市街地を抜けると海岸線ギリギリまで山が迫り激しく車が行き交う国道10号は、しばらく波打ち際を行く。すでに完全に日は落ちていて、街灯のほとんどない細い路肩はスリル満点だ。

  大分市に入ってからも気の抜けない道が続いたが、遠くに大分市街地の明かりが見えてくるころにはようやく安心して走れるサイクリングロード風の道に変わった。
  しかし海岸沿いの公園では車で乗り付けた若者が多数たむろしているようで、あまりいい雰囲気ではない。

 2000過ぎに大分市街地に入り、JR貨物が業務を請け負っているという西大分駅に到着したがすでに完全に日は暮れていて、撮影は不可能だった。またここにも若者がたむろしていて、早々に引き上げる。

  近くの店で夕食を済ませたあと、今日泊まる「豊の国健康ランド」へ向かった。

  日豊本線の線路際にあるこの健康ランドは、沸かし湯なのが残念だが設備はなかなか充実している。

仮眠室にはほとんど水平になるリクライニングシートがあり、空きもあったがマットと毛布も置かれていたので床に敷いて寝た。

本日の走行距離108.6km 走行時間9.59.58 自宅からの走行距離1709,4km以上(推定)