日本縦断東日本編14日目【平成15年8月20】ゆとろぎの湯〈北海道札幌市〉⇒北秩父別駅〈北海道雨竜郡秩父別町〉

昨日は久しぶりにまともに眠ることができた。朝風呂を浴び準備をして、717に「ゆとろぎの湯」を出発。


 今日もいい天気だ、目的地の秩父別(ちっぷべつ)までは120km以上あり相変わらず長距離だが南風も強くて、なんとかなりそうだ。すぐ近くの吉野家で朝定食を食べ、まずは札幌駅へ向け走りだす。

 通勤のサラリーマンで賑わう道を走り、再び大通公園やテレビ塔を見て30分ほどで札幌駅に到着した。その後「時計台」を見学した「時計台」は「日本三大がっかり名所」などと呼ばれて確かにビルに囲まれているが、歴史のある建物で堂々としていて、俺は好きだ。



 813に車両区がある苗穂駅に到着し国道275号に入る。石狩川を渡ると追い風は更に強くなり、両側に水田が広がる道を大型トラックにも扇られながら走り、石狩当別駅には934に到着。30kmほどの距離を80分くらいで走ったので、なかなか快速だ。

 石狩当別駅はガラスを多用した新しい建物だったが街には昔からの建物多かった。

当別駅を過ぎると、札沼線と国道275号はぴったりと寄り添って走るようになる。その名の通りの北海道医療大学駅に1008、貨車駅の本中小屋駅に1030、本中小屋にそっくりな、中小屋駅に1045、地元物産の販売所が併設されている月ヶ岡駅に1102、〔チカン変質者に注意!〕の看板が気になる知来乙(ちらいおつ)駅に1115、木造駅舎があり、委託の駅員がいる石狩月形駅に1136、それぞれ到着。

 次の豊ヶ岡駅は札沼線きっての「秘境駅」で、水田が広がる石狩平野の中を走る札沼線のなかで何故か森に囲まれ周囲に民家の見当たらない、愛好者に人気の駅だ。

 そういう訳で、豊ヶ岡駅で昼食にすることにして石狩月形駅の前にあったなんでも屋で何か買うことにする。 この店は、テレビからタワシ、パンにCD、猫の餌までとにかくなんでも売っている店だった。そして、賞味期限が近いパンやおにぎりを安く売っているのは当然としても、賞味期限が切れた物をもっと安く(半額位)で売っていたのには驚いた。しかし地方のこういった店は賞味期限切れでもそのまま並べてある所が多いので、それと比べればきちんと管理されているのかもしれない。

 ほかに店も無さそうので、おにぎりなどを買って店を出るとちょうど前を一人の「ママチャリダー」が通り過ぎていった。ああいう自転車にたくさん荷物を積んで旅をするというのはどうにも効率が悪いし、故障も多発しそうだ。まあ、しかし自転車でしかも分割日本縦断をしようという奴が「効率」などという言葉を使ってはいけないのかもしれないが。

 豊ヶ岡駅は以外に分かりやすい場所にあり1216に到着することができた。豊ヶ岡駅は噂通りの森に囲まれた雰囲気がある所で夜は怖そうだが、今なら休憩には最適な場所だろう。〔チカン変質者に注意〕の黄色い看板がある、木造の待ち合い小屋に入ってみたが中には赤いスプレーで大きな落書きがあり雰囲気が悪かったので、ホームに座って食事にした。しかし駅の横の踏切(警報機、遮断機無し、ダート道だが車の通った跡あり)は危なそうだ、もしここで車が故障でもしたら焦るだろう。

 
 
国道に戻り少し走ると1315に晩生内(おそきない)駅に到着。この駅は、委託の駅員がいて手入れされていて雰囲気が良かった。次の浦臼駅には1337に到着。この駅は最近建て直されたようだったが、なぜか歯科医院と同居していた。

 浦臼を過ぎると札沼線は一日3往復の超閑散区間になるが、沿線の雰囲気は特に変わらずむしろ滝川に近づいて、民家が増えているようだ。

 その先に「道の駅つるぬま」があったので、スタンプを押すため立ち寄った。自転車を止めると、自転車旅行者風が休憩していたので、彼が食べていたビスケットを分けてもらいながら話をした。

 彼は京都からきた大学生で、話によると日本一周を目指しており今日で23日目だということだった。彼の自転車は、自分のグレートジャーニー2より少し高そうなマウンテンバイクだったが、テントやキャンプ道具を積んでいて、なかなか大荷物だ。今日はこれから旭川まで行く予定とのことで、旭川を通らずに深川から旧深名線沿いのルートを通って名寄を目指す俺とは違っていたが、追い風も強いのでなんとかなるだろう。

 彼と別れて再び国道275号を走りホームと待合室だけの南下徳富(みなみしもとっぷ)には1420に到着。大きな駅舎と駅前の松の木がかつての繁栄をしのばせる下徳富には1432に到着。

 ここを過ぎると、国道275号は市街を走るようになる。札沼線の終点の新十津川駅には1448に到着。この駅は以前一度訪れたことがあるが、特に変わっていなかった。新十津川駅は函館本線の滝川駅と4kmほどしか離れていなくて、市街地にあるのに住民に見捨てられ、鉄道マニア専用駅のようになっている。札沼線の石狩当別以遠自体が函館本線とほぼ平行して走っていて利用者も少なく廃止の可能性もあるが、いつまでも残って欲しいと思った。

 

今日2回目の石狩川を渡って1516に滝川駅に到着。ここからは国道12号に入り深川を目指す。

 すぐに「道の駅たきかわ」があったので立ち寄ってスタンプを押す。この道の駅は幹線道路沿いにあるだけの事はあり、とても混雑していた。荷台にテントやシュラフはもちろん、鍋釜の類まで大量に積んだ自転車が何台も止まっていて「とてもかなわん」と感じた。

 このあたりの国道12号は緩い下りになっていて、また追い風も強くて恐ろしくスピードが出る。国道から少し入った所にある江部乙(えべおつ)駅には1620に到着。

 地図を見ると、函館本線と併走する道がしばらく続いているようのでそこを走ってみた、なかなか広い道で快適だったがなぜか車がほとんど走っていなくて不思議に思っていると、案の定行き止まりになっている。しかし車なら進めない所も自転車なら担いで進める。ゲートを乗り越えて石狩川の河原に入り砂利道の堤防の上の道を押して進み、なんとか道道の石狩川の橋までたどり着いた。

 今日3回目の石狩川を渡って深川市に入る。深川駅には1715に到着。ここでは今日の夜に備えて、しまむらで安い長袖のトレーナーを買ったり、夕食用の弁当を買ったりした。

 これで結構時間を食ってしまい、1800を過ぎてしまったのが夕日に追い立てられるように水田地帯の中を貫く国道233号を走り、なんとか日没までに秩父別に到着することができた。

 秩父別駅には1855に到着。この駅は大きめの木造駅舎があり、駅前には高校生のものと思われる自転車がたくさん止まっていたしかし中の窓口は板で塞がれていて、だいぶ前に無人化されたようだ。

 

「秩父別温泉ゆう&ゆ」は駅のすぐ近くにあった。今晩はここで閉館まで粘り、さっきの秩父別駅かそれがダメなら他の場所を探すつもりだ。

 入館料\500を払って温泉に浸かりさっぱりしたあと、畳敷きの休憩室で過ごすことにする。休憩室では、おとといの昆布川温泉と同じく地元のおばさんが煮物や漬物をつつきながらテレビを見ていた。俺はNHKのニュースか、せめてナイター中継がみたかったが、おばさんは大笑いしながらヘキサゴンとかいうクイズ番組を見ていた。仕方ないので、それを観て過ごし閉館が近づいたので外に出た。

 このときの夜の秩父別の空気のさわやかさと、駐車場にあった「百年記念塔」の21時を知らせる鐘の音色がとても印象的だった。

 深川で買った弁当を食べて、再び秩父別駅へ向かう。 駅に到着すると駅前の家のおじさんが、いかにもこっちを警戒するような感じでウロウロしていたので、素直にここで寝ることは諦め周りに民家が無さそうな次の北秩父別駅へ向かった。

 北秩父別駅ヘの道は水田の中の農道で当然街灯はなくほとんど真っ暗だったが、ライトで足元を照らしながら慎重に進む。途中、通行止めなどがあり少し心配だったが無事に2150に北秩父別駅に到着。

 この駅は気動車一両分の板張りのホームと三畳くらいの待合小屋があるだけの駅で、寝るのには適しているようだ。最終列車が行ったあと、駅舎の明りが消えるかは駅で寝る上で重要なポイントだが(無人駅でも一晩中明りがついたままの駅もあればタイマーで自動消灯する駅もある)この駅の待合小屋には蛍光灯も電球も、もともと無いのだった。

 ホームと同じ板張りの床に銀マットを敷きシュラフを広げてもぐりこんだが、なかなか寝付けずいつまでもラジオ深夜便を聞いていた。うとうとしていると駅前にどうやら車が止まったようで、ドアが開き男の話し声まで聞こえてきて、とても緊張し眠気も覚めてしまったが、結局何事もなく車はどこかへ行ってしまった。

 本日の走行距離150.56km 平均速度12.8km 最高時速45.8km 走行時間11.44.54 自宅からの走行距離1561.39km以上(推定) (すべて<秩父別温泉ゆう&ゆ>まで) 本日の出費 (\4101)