国道152号未開通(不通)区間 青崩峠 (第3回)   


国道152号はを結ぶ長野県上田市と、静岡県浜松市を結ぶ国道であるが、険しい山岳地帯を縦断するルートをとっており途中、2ヶ所、地蔵峠と青崩峠の未開通区間が存在する。
 今回は長野〜静岡県境に位置する青崩峠を訪れるつもりである。
標高1082mの青崩峠は、長野県側からであれば兵越林道、草木トンネルの迂回ルートへの分岐を過ぎたのち、車道終点から登山道を経て到達できるという。
 車利用であれば、峠まで到達できても当然戻ってこなくてはならないのだが、そこは自転車の利を生かし静岡県側への通り抜けを目指したい。…と企んだのだが、2010年1月の挑戦では、時間の無さと気候の厳しさに敗退し、車道終点までもたどり着けなかった。
 今回は静岡県側から青崩峠に挑む。

 草木トンネル

 青崩林道は、草木トンネルへと続く高規格道路との高低差を除々に詰め、高架橋の下をくぐるとトンネル坑門の袂に出る。

 トンネルとの間には不思議な配置のガードレールがあるが、特に塞がれてはおらず直接繋がっていそうである。
 
 この時点では、まだ草木トンネルが自動車専用道路の一部だと思っていた為、頭の中で?マークが回っていたが、車が途切れるのを見計らって正面へ回ると、「あれ歩道がある!」。

 これを見て、格下げの事実をおおよそ理解できたが、まだ釈然としないものがあった。

 改めてみると、いかにも不自然な後付け歩道である。
 この先、トンネルを抜けても10km以上集落はなく、ツーリング自転車等以外のまともな歩道の利用者は皆無であろう。

 抗門脇の看板もしっかり白地に変えられている。
 このままトンネルに入っても青崩峠へは行けないので、再び林道へと戻る。


 1.5車線程の道は、コンクリート舗装がなされているものの、勾配が半端でなく国道にふさわしいような規格ではない。

 ここはおとなしく押してすすむ。
 道端にあった「さば地蔵」の碑

 魚を抱えた地蔵ということで興味深かったが、辺りを少し探してみたものの見つける事はできなかった。

 足神神社 

 急勾配が続く道をひーこら言いながら登ってゆくと、ようやく足神神社に到達。

 その名の通り、足にご利益のある神様ということで、足の健康に関する絵馬がたくさん奉納されていた。
 また、神社のすぐ手前には名水の湧き出る泉があり、この日もたくさんのペットボトルを持って水汲みに来ている人がいた。

 この辺りはその昔集落があったそうで、江戸時代にはこのような山奥ながら「国境警備」の役目を担っており、重要な役割があったという。
 草木トンネルから1時間近くかけてゆっくり登ってゆくと、「塩の道」との分岐が現れる。

 「塩の道」は古道らしく山の斜面をそのまま登って青崩峠に至るようだが、林道は勾配を避け、右に大きくカーブする。

 今日はとりあえず車道終点を確かめたいのでそのまま林道を行く。
 
 その先も、一応舗装路が」続いているが交通量は明らかに少なそうである。

 この先が行き止まりなのは明確であり、入り込むのは山仕事の人と、酷道マニアだけか。
 
 やがて舗装が切れ、路面はダートになるが勾配はそれ程でもなく走りやすい。

 ここが国道指定されていればなかなか貴重なダートであろうが、そうでないのは前述の通りである。

 車道終点

 林道は細かいカーブを繰り返しながら峠へ向かって登ってゆくが、10分も進むと「煮詰まった」雰囲気が強くなり、どうやら終点も近そうだ。
 「塩の道分岐」から約20分、車道終点に到達。

 この先工事が行われたような形跡は無く、道はスッパリと終わっている。

 左へ行けば「青崩峠5分」とあり思ったよりも大分近いが、右の草木トンネルを抜けた先にある兵越峠までは2時間もかかるようだ。
車道終点からは、年代不詳ながらよく整備された石畳の道が続いており、自転車同伴でも苦も無く進むことができる。

 青崩峠

 車道終点から、一旦下った道はやがて登りに変わり、案内通り約5分で御影石の立派な碑が建つ青崩峠に到達。

 後ろの階段の先は熊伏山の登山道のようだが、今日は登山をしている時間は無い。

 
  静岡県と長野県の県境に位置する青崩峠(1082m)

 前述の通り、秋葉街道、塩の道とも重なり、中世には武田信玄の軍勢がこの峠を越えたという。
 また近世には製糸工場で働くため少女たちがここを通っており、長い歴史のある峠である。
 残念ながら辺りには樹木が茂り眺望は無いが、刻まれた歴史を肌で感じる雰囲気の良い峠である。


 既に15時半になっており、日の短くなるこの季節でもありあまり長居はできない。

 早々に長野側へと下り始める。

 車道終点から僅かな時間で峠へ到達出来た静岡側と違い、こちらは比較的距離がありそうだ。

 この先の状況やいかに。


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