田本駅脱出計画   


 
  飯田線の平岡〜天竜峡間に位置する「田本駅」。
  両側をトンネルに挟まれた断崖の駅で一般の利用は非常に少ないようだ。しかし小和田駅と同じく駅前まで車道の通じていない駅で「秘境駅」としての人気は高い。

 ここを探索の起点とすべく、いつもように輪行でこの駅へ降りる予定である。
 
 県道までは急な獣道が続いているというが、自転車同伴で攻略できるものなのであろうか?


 田本駅ホーム

 2010年1月16日

 豊橋から8時台の飯田線で田本駅へ向かう。

 ちなみに飯田線の豊橋からの始発列車は天竜峡まで行くものの、これは名古屋からは乗り継げない。
 
 次のの長距離列車は中部天竜止まりでこれがせめて平岡まででも運転されれば便利なのだが、乗客数を考えれば仕方のない所であろう。


 
 断崖の中腹に位置し、両側をトンネルで挟まれた「秘境駅」田本。

 秘境駅としては小和田に次ぐ人気を誇るが、実際に下車するのはこれが初めてだ。 
 豊橋側のトンネルを望むホーム端に出口があり、ここから県道に面した田本集落を目指す。

 簡素な待合室には定番の駅ノートがあり、パラパラと眺めてみたがここ下車してもすぐに反対列車で戻ってしまうような人が多いようで、上まで行く人は少ないようだ。 

 田本第二隧道の上を乗り越える、急なコンクリート階段が下界(上階?)への道の始まりだ。

 いきなり自転車には全く適さない状況だが、ここは我慢して担ぐ。

 竜田橋 

 急な階段を登りきると、道は線路と平行する状況で豊橋方面へ進んでいる。

 100mも行かないうちに道は二手に分かれる。

 標識を見ると田本集落は左を登って行く方向のようだが、竜田橋というのも気になるので、ここはそのまま直進する方向を行く。
 先ほど階段で登った分をすべて下り、飯田線よりも低い位置まで降りるとすぐに立田橋に到達。

 立派な鋼鉄製のつり橋だが、状況からして歩行者専用か。
 
 地図を確認すると、この先は阿南町の中心部を経て国道151号及び温田駅方面へ続いているようだ。
 橋を渡らず先へ進むと、道は荒れ気味になるものの、路肩には石垣が築かれており、しっかりと先へ続いている。

 地図を見ると、この先は飯田線と天竜川との間に崖記号が続いているばかりで抜けられる希望は薄いが。
  予想通りというか、道は線路にぶつかって終わっていた。

 それなりに踏み跡が残されているのは、保線係員の往来がある為か。
 少し線路を覗き込んで見ると、そこは田本第一隧道の豊橋側坑口。

 狭い卵型のポータルは旧三信鉄道区間の特徴だ。


 田本駅のホームから見えるのは、一つ先の田本第二隧道でありこの辺りの隧道の高密度ぶりが解る。

 県道への道

 自転車を引いてもと来た道を戻り、急坂を登り直すと今度は先ほどの分岐を左へ行く。

 急な山道を登って行くとやがて眼下に天竜川を望む地点に出る。

 この田本駅も小和田駅と同じく佐久間ダムの完成による天竜川の水位上昇によって孤立した駅で、かつては川側にも集落があり、開業時は有人駅だったという。

 
 急な登りが一旦収まると、どこかの高原の遊歩道のような、林間のプロムナードとなる。

 足元はふかふかの落ち葉でなかなか気分の良い道だが、駅から道路に出るメインの道とは思えない。
 今度はどこかの家の裏山のような竹林。

 こちらはかなり人の手が入っている感じで民家が近い雰囲気だ。
 案の定右手上に畑が見えてくる。

 分岐からここまで10分強。

 もうまもなく県道へ出ても良い頃だ。

 田本集落

 景色が開けると、県道沿いに広がる田本の家並みが見えてきた。

 この先は民家の庭先のような所を通って県道に出るようになっており、そちら側から入るのは少し抵抗が感じられるかもしれない。

  
 県道沿いにある3台の自動販売機。

 交通量が多いとは言えない県道だが、付近の住民の利用を含めてそれなりの需要があるのであろう。

 田本駅から県道まで上がってきて再び駅へ戻る人がこの辺りでできるのはこの自販機で飲み物を買うこと位か。
 少し飯田方面へ進んだ所にある有名?な焼き肉屋。

 もっと怪しげな雰囲気の店を想像していたが、結構立派な店である。

 のれんがかかっており、庭も手入れされているが、良く見れば障子が継ぎ接ぎだらけで、営業しているのかは不明。

 

 焼き肉屋のすぐ手前のガードレールの切れ目に←田本駅の看板。

 地元の人が設置したとも思えず、鉄道ファンの手製か?

 ちなみにここを下ってゆくと、あぜ道のような所をジクザグに進んで最短距離で先ほどの畑の辺りに出るようだ。