岐阜県道352号大西瑞浪線と五月橋 (後編)   

 岐阜県瑞浪市北部の県道65号恵那観御嵩線(旧中山道)から分岐する県道352号大西瑞浪線。地図で見ると木曽川を渡って国道418号と接する少し手前で途切れ、点線表記になっている。

 その実態はいかに。

 下って下って

 県道からいさまつの2階部分を見る。

 前述のように少しネットで検索しただけで山程出てくるこのいさまつや遊覧船の事であるが、いつまで営業していたかや、現役時代の様子などは全く見えてこないのが実情である。

 当然近隣住民もおらず、聞き込み調査もできない。
 
 「いさまつ」の先は相変のダート道が木曽川へ向けて下っている。

 本来の道幅からは大分狭くなった様子が窺えるが、それでも残った部分はしっかりと踏み固められ、上等な登山道といった感じである。
 この辺りは比較的元の道幅を保っているようで、登山道や遊歩道というのには過剰な感じである。

 先ほどのいさまつの事もあり、かつては普通のバイクやオート三輪くらいはこの辺りを通れたのかもしれない。
 再び路肩に降りて見ると、りっぱな石垣が。

 一見荒く積み上げられただけに見えるが、これだけの年数を経ても特に崩れは見られず、それなりに計算された積み方なのであろう。
 ようやく下に木曽川のエメラルドグリーンの水面が見えてくる。

 県道は何段かの九十九折れで高度を下げているが、その勾配はそれ程急ではなく、旧式の車両の通行を前提とした設計が窺える。

  

 いさまつから約15分
 
 ようやく五月橋の袂へ到達。

 県道からは90°カーブするような感じで橋に接続している。
 さっそく五月橋へ…。
 
 と行きたい所だが、その前に少し寄り道。

 橋の手前に川岸へと下って行く道があり、五月橋が架かる前の旧橋?へのルートとも思われ今までと同じような石垣が築かれていたが、50m程で終わっており橋の痕跡は特に見当たらず。
 五月橋の方に向けられて立っているこの看板。

 内容は最終バリケードの先で見たものと同一であるが、この先の状況を考えると…。
 昨年に続いて自身二度目の五月橋であるが、特に変化は無い。

 橋の入口付近が広く造られているのは、車輌の通行を意識したものか?

 もっとも今ではご覧の通り歩行者専用といった状況になっているが。

 五月橋

 昭和29年竣工を示す銘盤

 下には施工者名が書かれているようだが、何度も塗り重ねられた塗料によって凹凸がはっきりしない部分もあり、写真を拡大してもはっきりとは読み取れなかった。

 
 手前からのアングル

 橋の袂部分が広くなっていることが分かりやすい。

 この風景を造り出している下流の丸山ダムをかさ上げする新丸山ダムが完成すれば渡った先の国道418号と共に水没するというこの五月橋であるが、工事は現在凍結中であり、暫くはこの風景は保たれそうだ。

 
 反対側の主塔には誇らしげな五月橋のエンブレムが。

 延長123,3m 幅員3.6m…。

 などというデータを拾っておいて言うのもナンだが、ウィキの項目を見ると、昭和57年の豪雨災害までは普通に車が通行出来たとあるが、前後の状況を見るに俄かには信じがたい。
 足元はまるで側溝の蓋のような金網で、スケスケである。

 しかし特に錆び等見受けられずしっかりしており、特に怖いということは無い。

 通常の鉄板よりも水もたまらず、強度で劣るということもなさそうだ。

 ここもウィキには「何とか通れる」といった記述があるが、そのような事は無く安心して渡ることが出来る。

                                               

 国道418号

 こちら側から五月橋へ訪れる人の方が恐らく多い、国道418号側へ。

 こちら側も急カーブで橋に接する線形にはなっているが幾分余裕があり、橋の袂は少し広くなっている。

 アンカーの基礎部分には「橋梁破損(につき?)危険の為歩行者通行止 岐阜県」という古びた掲示があり、現在の状態になる以前は梁の部分が老朽化していた事が解る。
 
 ひょっとししたら木製の梁だったのかもしれない。また歩行者通行止という表現も珍しい。
 国道418号へは急な九十九折れの道が続いている。

 今まで通って来た道と比べても状態は悪く、勾配はきつい。

 
 本当にここに車道が開通した歴史があるのだろうか?

 瑞浪側にはなんとか元車道の雰囲気というものもあったが、ここは単なる登山道レベルの道である。

 それとも災害によって旧来のルートは完全に消滅したのであろうか。
 やがて上部の視界が開ける地点に出る。

 杉の植林地とその下の灌木帯との境のラインが国道418号の筈だが、新丸山ダムが完成すればあの辺りまで木曽川の水位が上がるのだという。
 なんとか自転車を押し上げ、五月橋から約10分で国道418号へ脱出?


 岐阜県内では良く見かけるキロポストがあり、ここが県道大西瑞浪線起点である事を教えてくれる。

 こちら側には通行止め等示されておらず、五月橋を渡った先までは通行フリーか、しかしこの先の国道418号は周知の通り…。



 国道418号へ出ればそこは俗に「町道分岐」と呼ばれる地点の少し手前。

 かねてからこちら側(より状態の悪い笠置ダム側)へ向けて通行止めが立っているのが疑問であったが、五月橋方面から来た人に向けて通行止を示しているのであろうか…。

 まあ県道352号が通行止めであるのは前述の通りだが。