国道308号(榁木峠 暗峠) 後編  

国道308号は奈良県奈良市と大阪府大阪市を結ぶ40km程の国道であるが、奈良⇔大阪県境の暗峠付近は狭路と急勾配の続く「酷道」として名高い。

 非常に有名なスポットで、大阪市街から近いこともあり、ネット上には数えきれないほどのレポートが存在する。

 また、奈良市と大和郡山市の境にある榁木峠付近も見どころが多いようだ。

 メジャーすぎて今まで行く気になれなかったのであるが、一度は自分の目で確かめたみたい。


 南生駒


 生駒市道との重複区間は200m程で終わり、国道308号は住宅街の中を通る1.5車線程の道となる。

 この場所などはそれ程狭い道という訳ではないが、ニュータウンの造成地の道といった雰囲気で、いずれにしろ国道といった感じではない。

 
榁木峠から下りきった辺りが南生駒の市街地で、ここで近鉄生駒線の踏切を渡る。

 この写真は大阪側から振り返って撮影したものだが、「おにぎり」下のナビゲーション通り線路と川に挟まれた細い道が国道である。 
 南生駒駅の手前で立派な国道168号と交差し、いよいよ暗峠区間へと入って行くのだが、308号側には目立つ標識も無く見落として168号へ入ってしまいがちなポイントである。

 奥に見える日に焼けた標識は有名?な幅1.3m制限の標識である。

 また、さらに奥に見える横線が三本だけの横断歩道も見どころの一つか。

 交差地点を別角度から。

 幅1.8mロングボディーの車通行不可はともかく、一方通行の国道というのはほかにあるのであろうか。

 この場所がある以上大阪側から車で国道を完全トレースすることは不可能である。

 峠へ 

急勾配と狭路で知られる暗峠区間だが、南生駒の市街地を抜けた辺りは現状2車線の普通の道となっている。

 縦型の白看?はしっかりと暗峠の方角を示している。

 と思ったのも束の間、国道は再び住宅街に入りブロック塀に挟まれた1.5車線以下の道になる。

 両側に建つ家は最近建てられたような物もあり、拡幅は容易ではなさそうだ。

 
 住宅街を抜けると、工事中の区間に入り迂回を余儀なくされた。

 これで国道完全トレースはできなくなったが、暗峠も地道な改良は行われているということなのであろう。 

 (写真は大阪側通行止め地点)
 迂回はそれ程大きなものではなく、500m程で国道へ復帰できた。

 通行止区間より先は辺りに民家も無く、ようやく峠道といった感じとなる。

 前方には再び幅1.3m制限の看板が。
 棚田の脇を行く道は古道の雰囲気を残し気分が良い。勾配も5%程で自転車向きである。

 しかし国道といった感じではないが。

 左前方の鞍部が暗峠であろうか。 

 暗峠

 峠が近付くと、勾配も一気に急になった。

 滑り止めのついたコンクリート舗装の路面もこの国道308号ではもう見慣れたものである。

 左側のアパート風の建物は会社の寮か何かであろうか?

 わざわざこの場所のアパートに入居したいと思う人がいるとは思えないが。
 振り返ると今まで登って来た道と生駒市街地、そして先ほど越えた榁木峠の先には奈良の街が眼下に広がる。
 直接アクセスできない生駒スカイラインのガードが見えると峠はもう目の前だ。
 この辺りには車上狙いへの注意を呼び掛ける看板が幾つもたっている。

 江戸時代には追い剥ぎが出たというこの暗峠周辺だが、そんな歴史は受け継がなくても良いと思った。
  
 ここが暗峠。

 名前のイメージに反して、明るく開けた峠である。

 一帯は小さな集落になっていて今も住人がいることには驚かされる。


 大阪側

 大阪側からの峠全景。

 やや有名な事はあるが、この石畳が敷かれているのはほんの50m程である。

 江戸時代にはどの辺りまで石畳があったのかは不明だが、宿場で大名行列の足元を汚さない為にこの石畳は敷かれたという。

 今度は奈良側へ向けて幅1.3mの標識が立っているが、そんな場所はあったかどうか。

早速大阪側へ下り始める。

 結局幅1.3mがどこだったのかは解らなかったが、ここなどは相当な狭さである。

 少なくとも国道には絶対見えない。
 集落を抜けると、連続雨量170oで通行止になるという区間に入る。

 暗峠が「本領」を発揮するのはここからの様であるが、辺りは大阪市民のハイキングコースになっており、写真にも写っているように国道を歩く人は結構いる。

 LED表示の温度計やスリップ注意の標識は、国道の峠区間などで良く見るものだが、道幅とのバランスがおかしな感じだ。
この辺りが最旧勾配区間か。

 自転車では登るのは勿論、乗車して下るのも容易ではない。



 そして

 5分程下ると、大阪の市街地の風景が前方に開ける。

 暗峠が夜景で有名という話もあるようだが、夜間に大阪方面からこの道を車で登って到達するのというのは…。

 2km弱で通行規制区間は終わり、この先は民家もあるエリアになる。

 辺りは枚岡公園で、ちょうど梅林が見頃なようだ。

 国道とは別ルートで峠方面へ向かう「らくらく登山道」なる道もあるようだが、どんな道なのであろうか。
 通行規制区間が終わっても、急勾配と狭路は続く。

 見ての通りの傾斜地ではあるが、大阪近郊ということもあり、びっしりと家が建ち並んでいる。
 近鉄奈良線のガードをくぐると、勾配もひと段落し国道308号も市街地の中の普通の道になる。

 何の変哲もない街中の写真だが、信号に取り付けられた「おにぎり」が妙に高い位置にあって面白い。
 国道170号との重複区間を経て西に進路を戻した国道308号は大阪市内を東西に貫く幹線道路となり、酷道の面影はどこにも無い。