中津川市奥三界山麓の大木橋(後編)   

 
  岐阜県中津川と長野県の県境にそびえる奥三界山 名前の通り非常に「奥」にある山で、登山口の夕森公園から相当長い林道歩きをこなさなければ山頂に近づく事も出来ない山である。

さて表題の木橋だが、この林道の終点近くにあるようだ。
 普段木橋というと、登山道にあるような簡易なものや既に朽ち果てて利用出来ないものを想像するが、これは自動車の通行を前提とした大型サイズだという。冬季は相当な積雪があると思われるこの立地でそのような木橋が残っているならば大変貴重なはずである

 木橋を渡る

  改めて反対側のアングルから木橋を眺める。
 橋台と橋脚の基礎はコンクリート製だが、それ以外は完全な木製。

 現役の大型木橋というと、観光目的を含んだものであれば多数あり、車も通行可能なものもあるようだがこのような旧来からの実用一点張りのタイプの現存は非常に珍しいと思う。
 
 下からのアングル。

 木材を組み合わせただけのシンプルな構造が良く解るが、当然老朽化は進んでおりこの姿が保たれるのがいつまでなのかは予断を許さない。

 ここは奥三界山への唯一の登山ルートでもあり、危険と判断されればあっさりと架け替えられるのかもしれない。
 木橋の下にある新しい橋を渡ると、直進してさらに山奥を目指す林道と180°向きを変え木橋を渡るルートへと別れる。

 直進の林道は四輪の通行が可能で多数の轍が刻まれているが、木橋方面はご覧の荒れようで事実上林道というよりも奥三界山への登山道になっている。

 いよいよ橋を渡る。

 路面に損傷は特に見られず、安心して渡ることができる。
 かつては自動車の通行があった事を裏付けるように轍の部分が補強されている。

 しかし冬季になればここに1mを超す積雪が毎年のしかかる筈で、車が通らなくなったいまもダメージは確実に蓄積されているのであろう。

 林道終点 

 橋の上部に聳える滝。

 その落差はなかなかのもので、今日は水量も少ないが日によってはかなりの迫力を見せそうだ。


 橋の袂から橋脚部分を見る。

 かつては、林鉄の後を受けた旧型のトラックがこの木橋の上を原木を満載して麓へと下っていったのであろう。
  
 林道の続きを見ると、もう一か所木橋が。

 ワンスパンの短いものだが、落石の負荷を受けながらもしっかりと架かっている。
 二本目の木橋を渡ると林道はこの荒れよう。

 この写真ではコンクリート擁壁の下部が道にも見えるが、道は落石の堆積する上部である。

 見た目は怖いこの場所だが、一般的な?廃道と異なり登山者によってしっかりと踏み固められており比較的安心して通る事ができる。
 先ほどの崩落から200mも行かない内に林道の荒廃は加速度的に増して行き、どこが道だったのかも解らない状態になる。

 登山道はここから斜面を登って行くようになっており、瓦礫の中の踏み跡も消える。

 この辺りが林道の終点だったのであろうか。

 登山道

 林道跡と別れた登山道は笹の切り開き道を登って行く。
 ここはそれほど登山者の多い山とも思えないが、指導標、マーカー等は要所要所にしっかりあり安心して進める。

 
 笹道の後は水の殆ど流れていない沢を登って行くルートとなる。

 こういった所は踏み跡が消えやすく、往々にして道を見失ったりしがちだが要所に赤ペンキのマークがあり、迷い込みやすい所はテープで封鎖されていることもあって問題無く進めた。
 沢を登りつめた後は再び広大な笹原に出る。

 このような風景は元来からのもので無く、樹木が皆伐されたあとに笹が繁茂したのだと思うが鈴鹿の笹枯れで、裸地同然になったり、得体の知れない外来種の植物が繁茂したりしているのを見ると、これでも安心できる所はある。
 山頂部の手前は比較的平坦な地形になっているが、所々ぬかるみが酷い。

 こういう場面でもむやみに登山道を拡張する原因となる迂回はせず、道の真ん中を堂々と進むのが山のマナーなのかもしれないが…。

 山頂へ

 木橋から2時間足らずで標高1810mの山頂へ到達。

 晴れていればそれなりの眺望があるそうだが、今日はガスっており全く駄目。

 早々に下山を開始する。

 よくある事であるが、下山を始めると序々にガスが切れ始め、時折太陽も顔を出すようにになった。

 この場所は3コマ前とほぼ同じ場所であるが、印象が全く違う。
 
 木橋手前の崩落地点で上を見る。
 
 先ほどは安心できると書いたが、頭上にはこのような落石の巣が隠れていた。

 足元はしっかりしているが、これではとても安心できない。ここは足早に通過する。

 

 再び木橋を渡り、自転車を回収すればもはやこちらのもの。

 一年でも日の短いこの時期、既に夕暮れは近づいているが、下りのダートを快走すれば夕森公園はあっという間…の筈だったが途中で後輪がパンク.

 幸い大事には至らず簡単なチューブ交換で済み、一時間半足らずで夕森公園まで戻って来ることができた。