日本縦断西日本編17日目【平成16年7月29日】豊の国健康ランド(大分県大分市)→佐伯駅(大分県佐伯市)

  今日も天気は良さそうだが、相変わらず最高気温は軽く30℃を越えそうでとてもサイクリング日和とはいえない。
  明日は仕事で、何としても今日中に帰宅しないとまずいのでこれからは、時計と時刻表を気にしながら走ろうと思う。
  朝風呂を浴びてさっぱりしたあと、早々に健康ランドを後にする。大分の街はまだ目覚めておらず交通量も少ない。
 
 豊肥本線、久大本線が分岐する大分駅に、到着。行き先案内板の表示は多彩で眺めていると楽しい所だ。
  前回ここへ来たときには駅前の店でお好み焼きを買い、豊肥本線の旧型気動車に乗った記憶があるが現在その場所には大きなマンガ喫茶が建っていて、また旧型気動車も走っていないようで、大して経っていないというのに時代を感じる。
 しばらくは、大分の市街地を進んだが、道路よりも一段高い所に頑丈そうな木造駅舎がある大在駅を過ぎるあたりで郊外に出た。その後海沿いを進み、水田地帯にある幸崎駅を過ぎると、日豊本線は国道と離れ山越えのルートを取るようになる。
 
 以前は平行する道路が無く、鉄道沿いのコースは走れなかったのだが最近、峠を長いトンネルで越える農道が開通したようで、そこを行く。
  最初のうちはまさに「農道」で水田の中の細い道を「臼杵」方面の標識を確認しながら進んだが、新線区間に入ると切り通しを多用したとても立派な道に変わる。
  鉄道が併走できるくらいだから大したことはないと思っていたが、結構なアップダウンを何度も繰り返す道で楽ではなく、三回目の登りで押してしまった。
  周りには一件の民家も無く日陰すらない道を暑さにも苦しみながら気合いで進み、四回目の登りが終わると峠の「もみの木」トンネルが口を開けていた。
  このトンネルは全長が以上あり内部は広く、とても立派だが交通量は少なく楽に抜けることが出来た。
 
 こういう山奥の豪華な道を税金の無駄と言う人もいるだろうが、実際にあれば走りやすく便利ではある。
  峠の下りは怖かったのだが、以外に見通しがよく片ブレーキでもそれほど危なくなかった。道が平坦になると、新線は工事中になり細い脇道にそれることになった。工事が終わり、国道217号と直結すればこの道の利用者も増えるだろう。
  この先日豊本線は再び小さな峠をトンネルで越え、次の佐志生駅に向かうが道路は平行していないので、一度海岸沿いに走る国道に出る。
 
 静かな砂浜が広がる臼杵湾の風景を眺めた後国道を離れ、細い道を進むと、みかん山の中に佐志生駅のホームが見えてきた。
  駅の真下までは来たが、登る道は見あたらず遠回りが必要な感じなので本当は良くないのだろうがみかん畑の中を通ってこじんまりとした六角形の駅舎がある佐志生駅に到着。
  駅舎こそ新しいが、みかん畑の下に家々の屋根を見下ろすロケーションはなかなかだ。
  この先は線路沿いに道が通じているようなので、普通車同士でもすれ違いに苦労しそうな水田の中の道を行く。
  次の下ノ江駅は利用者の少なそうな駅だが、おじさんが一人列車の時間でもないのに駅のまわりをうろついていた。木造駅舎は相当に老朽化していて簡易駅舎に変わる日も近そうだ。
 
 国道の旧道と思われる県道に入り久しぶりに市街地を進む。駅員のいる熊崎駅は臼杵の市街地が近く、利用者は多そうで駅前には自転車がたくさん停まっている。
  臼杵駅から至近距離にある東臼杵駅には寄ることができないまま、市街地を抜け、臼杵駅に到着。  特急停車駅で立派なコンクリート駅舎があるが駅前は以外に静かだ。
 
次の津久見駅までの駅間距離は、9.7kmもあり峠越えの道は結構キツそうだ。
  臼杵の市街地を抜けるとすぐに登りにかかる。
結構きつい登りで交通量も多く再び押してしまった。狭くて長いトンネルを抜け、カーブの少ない道を一気に下るとやがて日豊本線と交差し海岸沿いに出る。津久見駅は国道から少し入った所にあり、特急停車駅らしく立派なコンクリート製の駅舎だ。
 
 この先国道217号は一気にローカルな雰囲気になり、交通量も減少する。
  市街地を抜けるとすぐに津久見湾沿いの道になったが、トンネルを掘り最短距離で先を目指す日豊本線に対して国道217号は入り組んだ海岸線を忠実にトレースしながら進む未改良な道でアップダウンも結構ある。
  Ω型の岬をきっちりと回らされた先にある次の日代駅は、漁港の集落の中にある駅で落ち着いた雰囲気がよかった。
  眺めの良い道を進み、佐伯市に入ると風向きが変わり道も走りやすくなった。
  海に近い浅海井駅は昔からの木造駅舎が緑に塗られていてインパクトがあるが、不思議と周りの風景に馴染んでいる。
 
  ホームだけの狩生駅を過ぎると佐伯の市街地が近づき、遠くにセメント工場も見えてきた。
  佐伯の一つ手前の海崎駅は簡易駅舎に変わっているが通学、通勤の需要が多いためか時間帯によっては改札、切符の販売が行われているようだ。
  巨大なセメント工場と佐伯港を見ながらすっかり交通量も増えた道を進み、佐伯駅に到着。
  まだ日も高いが、次の特急停車駅の延岡まではとても行けそうに無く、今日中に帰るにはここで終わらさなければならない。
  自転車を分解して荷物をまとめたが、まだ列車の時間までは余裕があったので駅前の店で買い物をした。
  カードで切符を購入しホームで列車を待っていると、入ってきたにちりん号はわずか3両で、しかも車体にはKIRISIMA&HYUGAと書かれていた。最近ダイヤ改正でにちりんが増発されたので車両が不足しているのだろうか。

   3両でも空席が目立つ列車は今日走った景色の中を快調に進みあっと言う間に大分駅に到着。反対側のホームには寝台特急富士が発車を待っていた。
 
 富士に乗れば東京に着くのは明日の昼近くだが、これからソニックと新幹線を乗り継げば今日中に東京へ着いてしまう。しかし、これから大分空港へ向かえば明るいうちに羽田へ着けることだろう。
  すぐに隣のホームの行きと同じ「白くない」ソニックに乗り換え、小倉ではいつものように、大荷物の身にはとても遠く感じるのぞみの二号車に乗り帰宅した。

本日の走行距離約80km 走行時間約7h 自宅からの走行距離1789.4km以上(推定)