保台清澄連絡道路(遠沢新道)前編
数年前、「山いが」で紹介され、一躍有名になった千葉県鴨川市にある保台清澄連絡道路。。
素掘り隧道が連続する廃道は極めてインパクト大であったが、その正体はこれもまた「山いが」によれば「遠沢新道」という明治時代の馬車道であったという。

 出発

 目指す保台ダムは鴨川市街から10km程とさほど離れておらず、ちょっと調べてみると安房鴨川の駅から「走って」!この道を踏破し、そのまま周回コースを行くという強者もいるようだが、自分はそんな体力もないのでいつも通り保台ダムまでは自転車で行き、オーソドックスに往復する予定である。

 この青看では妙に保台ダムが強調されている感じだが、脇に大きなゴルフ場があるようでダム本体はともかくとして、ダム方面を目指して車を走らせ人は多そうだ。
 ゴルフ場へのアクセスルートということで、途中の道も結構な整備がなされており、順調に個性的なモニュメントが目印のダム入り口に到達。

 ダムの標高は100mもないようだが、ここから先の登りは、なまった体には結構きつく感じた。

  

 2000年竣工の保台ダム
 
 堤高41mの重力式コンクリートダム。

 ダム脇にある案内図はマニア垂涎の大変詳しい内容であるが、木製の為かまだ新しいにも関わらず痛みが目立つ。

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 しかし自分が気になるのはこれのみ。

 目指す「保台清澄連絡道路」は右下「3号付替道路」からスタートするのである。

 保台ダム 

 一昨日までの大雨のためか、満々と水を湛える保台ダム。

 この辺りの上流域には大きな街も無く水は澄んだ印象だ。

 
 展望広場を左手に見ながら周回道路を行く。

 立入禁止の看板(バス釣り向け?)には、「のり面がきつくきけんです」
という子供にも向けたと思われる文面が書かれているが、法面という単語の難易度はともかくとして、そもそもガードレール下の斜面が法面なのかという所から疑問である。
 一号橋梁を渡り、いよいよ三号付替道路、そしてその先の保台清澄連絡道路へと進む。

 侵入禁止の看板がやや美しくないが、歩行者も力づくでストップするという感じではなく、あくまでも不法投棄目的の車を阻止するためと解釈した。
 3号付替道路と銘打っているだけあって、ガードレールの設置された道幅は結構広いが、通る車もない未舗装の路面は既にシングルトラック化している。

 この先で自転車はしばしの間お留守番。
 

 廃道へ

   ガードレール終点の分岐を左に進むと、やがて川沿いの道になる。

 最初は都市部の下水路のようなコンクリートの枠の水路だが、徐々に雰囲気が出てくる。
    歩き始めてから約15分でこの場所に。

 明治時代に積まれたと思われる苔むした石垣が実に美しいこの辺りは早くも前半戦のハイライトか。

 ちなみにこの辺りまでなら全く危険なく訪れることが可能だ。
 歩きすい石垣のプロムナードは早々に終了し、連続する倒木と、侵食された道を飛び石でクリアする難路ではないが手間のかかる道へと変わる。

 結論からいうと、この場所だけは靴を脱いで慎重に行ったが、それ以外は濡れずに踏破が可能であった。
     倒木潜りと飛び石渡りに疲れてくると、時々このような歩きやすい個所も現れるが、どこも長続きしない。

 「山いが」のような自転車持参での踏破はこの先の難所を含めて自分には想像出来ない。
   
   


 そして

    途中、川の向きがS字型に180°近く変わる個所があるが、道はそれに従わずショートカットしているので直進するとコースアウトしてしまうのだが、目印もあり注意して歩いていれば大丈夫であろう。

 このような個所は、狭い両岸と飛び石で頑張るよりも川の中を歩いたほうが圧倒的に楽で早いのだが、前述の通り行きに関しては靴を濡らさず攻略した。
 
 しかし、後ほど出てくるアクシデントによってかなり疲れていた復路に関しては、素足にウォーターシューズでざぶざぶと歩きかなり時間の短縮となった。

 それ…大丈夫かよ。 と思う方もいるかもしれない。

 この辺りが全国有数の山ビル発生地ななのは知られた事実だが、この日(4月上旬)に関しては右足に2か所軽く食いつかれた程度で大したことは無かった。
 山ビル自体が水中にはいないこと、殆ど写真もとらず立ち止まらなかった事も大きいと思うが、一度食われると跡もなかなか消えないので気にする人はしっかり装備を固めて行くことをお勧めする。
  途中、何か所か見かける炭焼き釜の跡。

 岩の隙間から生える太い樹木からも古の人々の営みを証明するものであるが、位置的に道の真ん中にあるのが不思議な所。
     スタートから1時間半程で前半戦最後にして最大のポイントである二股へ。

 事前情報があれば、さほど迷うこともないのだが全くの初見でかつ、今のようにマーカーも多くないとなれば確かに途方にくれそうな場所である。








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