国道303号旧道八草峠旧道   第一回


 岐阜県岐阜市と福井県若狭町を結ぶ国道303号であるが、岐阜〜滋賀の県境に位置する八草峠は、2001年に3025mの八草トンネルを含むバイパスが開通するまでは断崖の狭路が続く難所として名高かったという。
 旧道化後数年はなんとか四輪でも通過出来る状態が維持されていたようだが10年近くが経過した今、各所で崩落が発生し通年通行止めの状態が続いているようである。
 

 出発


 2010年6月下旬

 
 北陸本線木ノ本駅で輪行を解き、岐阜との県境に位置する八草峠を目指す。

 改良が進み、完全2車線が確保された国道303号を1時間程進むと早くも八草峠通行止めの看板が目に入る。

 まだまだ峠は先のはずだが。
 
 ちょこんと飛び出た矢印が気になる標識。
 (マウスオーバーで種明かし)

 確かに二車線と一車線の分岐にはなっているが、納得できるような出来ないような…。
 
 いよいよ最奥の集落、金居原が近付いた。

 ここで集落の中を通過する旧道とバイパスの現道とが分かれるが、写っているトンネルは八草トンネルでは無く、峠はもう少し先だ。

 否応なしに目立つファンシーな看板だが、その雰囲気に反して結構実用的な内容になっている。
 (マウスオーバーで拡大します)
 金居原の集落。

 かつては後述する土倉鉱山にほど近く、相当な繁栄をみせた時期もあったいうが、今はひっそりとしている。

 しかし空き家が目立つという訳ではなく、人々の暮らしはしっかりと今も根付いている。

 木ノ本からの路線バスもそれなりの本数が運行されているようだ。
 集落を抜けると、現道との合流点が見えてくる。

 再び現れた道路情報看板には、金居原〜八草峠通行止 の金居原の部分がテープで消されている(既に透けてしまっているが)
 
 そういえば最初のコマの写真も同様になっていたが、これはトンネル開通前の看板をそのまま流用して、(旧道の)八草峠には行けないことを示したいのであろう。 

 土倉鉱山 

 旧道とバイパスの合流点に再びファンシーな看板。

 よく読むと、辺りに自生していると思われる植物が描かれているようだが、確かに人物と比べて植物のイラストは妙に写実的に見える。

 この看板を見る限りでは、八草峠にたどり着くのは難しくないように思えるのであるが…。
しばらく高規格な現道を行くと、やがて左手へ降りていく細い道があり、これが旧道の続きのようだ。

 90°向きを変えた旧道は現道の下をくぐり、土倉鉱山跡を目指す。

 
 旧道からさらにダートの分岐を500m程行くと土倉鉱山跡と到達する。

 かつては事務所や鉱山住宅跡など色々残されていた様だが、国道のバイパス工事に関連してそれらは取り壊され、今では精錬所の骨組のみ現存している。
  
 国道からのアクセスも良いこの鉱山跡を訪れる人は少なくないようで、上の階層へと登って行くロープが残されている。

 
 これはシックナーの跡か。

 この下部も通路になっていて、魅惑的なアングルもあるようだが時期がら籔が濃く、大きな蛇(マムシ?)がこちらを見ていたこともあって、鉱山探検はこれくらいにしておく。

 旧道へ

 とはいえ気になるのはやはり坑道。

 精錬所跡から100m程先にそれはあった。
 壁柱の付いた立派な抗口だが、上部に欠損が見られる。
 これは自然に崩れたのではなく、扁額をどこかで保存する為に抜き取った跡であろう。同じような例を三重県の旧長野隧道でも見たことがある。
 隙間から内部を。

 冷たい空気が漂う坑内からは透き通った水が流れ出ているが、その先はライトを照らしても見通せない。

 しかしこの鉄格子の隙間が絶妙で、細身の人ならば通り抜けることも不可能ではなさそうだ。

 まあどこへ通じているとも知れない廃坑を探検するつもりは全くないが。
 再び旧国道へ復帰し、峠を目指す。

 センターラインこそ消えてしまっているが、2車線の道幅が確保され、緑に覆われた法面も良く見ればしっかりと落石防止処置が施された道には、一慨の林道にはない元国道の風格がある。
 高架橋を頭上に見ながら幾つかの分岐を分けたのち、序々に高度を上げると、このほぼ現道と直角に交差する地点に出る。
 
 バイパス工事のついでということなのか、旧道側も100m程に亘って整備されている。

 八草トンネル

 2001年開通、長さ3025mを誇る八草トンネル。

 柵付きの立派な歩道もあるようだが、今日はとりえず用は無い。この時期に造られたトンネル特有のエンブレムには鷹?が描かれている。
 
 旧道方向に目をやれば通行止めの看板。

 通行止め期間が平成22年5月1日〜11月30日となっているが、その先は当然冬季通行止めであり結局1年中通れない事に変わりは無い。

 冬場は冬季通行止に変わったのち、来年の5月には再び23年のシールが貼られここに再登場するのであろう。
 コンクリートブロックが雑に置かれた通行止め個所。

 自転車でなら何の障害も無く先へと進むことが可能だが、経験上こういった容易に開閉できないタイプのバリケードの先は状況が良くない傾向があり、少々不安ではある。
 200m程行くと旧来のゲートを通過する。

 道幅は1.5車線程度だが、コンクリート擁壁と頑丈そうなフェンスで守られた法面は旧国道らしい所を見せている。

 辺りは杉の植林地でそれなりに人の手も入っていそうだが、この先の状況やいかに

 
第二回へ