「T秘境」と急駟滝(前編)

千葉県「某所」にあるとされる通称T秘境、場所だが、その詳しい位置をネットで公開することは最近までタブーとされてきた。
 しかしながら現在ではひとたび検索を掛ければ、かなり詳しい情報が得られるようになっているようだ。
実際この場所は本来なら余所者が入り込むことはないような集落の中の細い道のどんづまりのような所にあり、すんなりと目的地に  たどり着けずウロウロするのは住民に迷惑をかけることになるのは間違いない所。
 例によって地図の掲載はないが、このページを見て実際に行ってみたいと思った方がいたならば、どうか多角的に情報を集め、万全を期してから訪問してほしい。
 ちなみに「秘境」とはいっても、この場所は明治時代の川廻しによる牧場造成によって造られた人工景観なのだが、実際行って見ればそれを忘れさせる魅力的な所である。

 また、房総の川廻しについてはとても解りやすく解説したサイトがいくつもあるので興味のある方は検索してみてほしい。

 国道465

 上総湊から国道465号を君津方面へ15km程進むとこの場所。

 大事なことを書いていなかったがT秘境の「T」は千葉県富津市にある高溝集落から付けられたと思われ、まずはそこを目指すことになる。

 上総湊側から来たのなら画面手前側の屋根の付いた自動販売機があり、それが目印。

 右の側道を下って集落の中に入る。

 坂を下ると、1.5車線程度の道になる。

 この先いちご園がありそれが目印。しばらく道なりに進む。
  
 この分岐は右

 再び坂を下り、川沿いの道になる。
 徐行の標識が目印のこの分岐も右へ

 民家の玄関にでもつながっていそうな細い道だが、こちらが正解。

 秘境への道 


その先は完全1車線レベルの道になり、初訪問であればかなり不安になる道だが、とにかく道なりに進むとこの場所。

 正解は下の車両通行止めが掲示されたコーンがある方で、ここからは未舗装路となる。

 
 
 ダート路は何度か右に左にカーブするがとにかく道なりに。

 不法投棄の看板の下には警察署の名前入りで、車両進入禁止の掲示もあるが、轍は続いている。
 300m程行くと、いよいよこの場所。

 普通車がなんとか通れるサイズの「穴」がT秘境への入り口。

 上に聳え立つ岩盤から長い隧道の雰囲気もあるが、長さは50m程。

 (2008年撮影 マウスオーバーで2012年の様子へ)
 これがT秘境…。

 とはいっても強烈な真夏の日差しと、写真の腕のせいであまり雰囲気をお伝えできず申し訳ない。
   というわけで、これは2008年3月の様子。

 高宕川の水深は30cm程度できわめて穏やかな流れであるが、付近の水源地でもあるというこの場所をバイクや車で走りまわるのは常識的に考えて問題がありすぎる。

 …のだが、2012年の訪問時にも水中にバイクの轍があるというのが現実。

 黒滝

 浅く穏やかな流れは上流方面へと続いており、容易に川の中を歩ける。

 夏場ならばビーチサンダルでも歩けるが、水底のは意外にデコボコがあり滑りやすいのでウォーターシューズがあると便利。
 100m程行くと小さな滝。

 これは黒滝と呼ばれる落差2m程の滝。

 殆ど水の無い分岐が左にあるが、黒滝を登り先へ。

 苔でヌルヌルと滑るが、階段状にステップが切ってあったりして、登るのは難しくない。

 手前にあるのは岩のくぼみに小石が入り込んで回転して出来たという「甌穴」か

 深さは1m以上あるものも見受けられ、落ちればダメージは大きそうなので気をつけて。
    2008年の様子

 一見すると新緑の奥入瀬のような雰囲気も一瞬受けるが、周囲は杉の植林地であり、そこまで山深い感じではない。
 再び滝。
 
 相変わらずのヌルヌルだが、ロープも用意されており、特に苦労せず先へ進む。
 少しは「秘境」といった感じの雰囲気が出ただろうか?
 辺りは車の音も聞こえず、日が傾けば相当に心細そうな場所である。

 急駟滝

 黒滝から300m程で、高宕川は二手に分かれる。

 圧倒的な存在感を示すのは左側の急駟滝

 落差30m近い堂々たる「人工の」滝だが、今日は水量も極めて少ない。
   2008年3月の様子

 この日はまだ水量も多かった。

 滝上部に気になるモノが写っているが、それはレポ後半で。
 
 急駟滝はとりあえず後回しにして、右の支流へ。

 この先は情報も少ないが、房総半島らしい濃い緑の中浅く緩やかな流れが続いている。
 画像の場所などは広く歩きやすそうだが、実際には大量のクモの巣と薮蚊に悩まされながら、いくつもの土砂や枯れ枝で出来た天然ダムを乗り越えながら進む遡行で、何度も心が折れそうになりながらそれでも進んだ。
 数えきれない程のクモの巣トラップとの格闘にも疲れ果て、ここでギブアップ。

 相当に歩いたような気がしたが、GPSで確認すると、実際には500m程度進んだだけであった。

 地図を見れば、この先南下を進めても10km近くまともな道には行きあたらず、千葉県内という範囲に限定すれば、この場所は間違いなく「秘境」といえるだろう。
 
 次回は急駟滝とその先へ。