青梅の市街地近くにありながら、明治、昭和の二本の廃トンネルが山中に眠る吹上峠をU氏と共に目指した。
  昭和隧道(約300M)はゲートで閉鎖された旧道にありながら、数箇所照明が点っていて不気味な雰囲気が漂っていた。
 内壁には落書きも多く、夜には来たくない雰囲気だ。

昭和隧道を抜けると、現道の長大トンネルの横に旧々道の入り口がある。
  この明治の道は、最近こそ舗装されているものの、すぐに洗掘の進んだダートになる。
 
骨組みだけになった茶屋と便所跡のすぐ先に煉瓦ポータルも堂々とした明治隧道がある。

  明治隧道は当然無灯で真っ暗だが、出口ははっきり見えているのでそれほど怖くはない。
 
しかし、入ってすぐのところが水溜りになっていて、多少靴を濡らしてしまった、また内部はカエルの鳴き声がこだましてなかなかの雰囲気だ。
 内壁は白化の進んだ煉瓦巻きで明治以来の歴史を感じさせる。また中央部は素掘りのままのようだ。
  慎重に足下を照らし出口にたどり着いたが、当然こちら側も施錠されている。
 
しかし戻るなど考えられない。50センチほどの隙間は人が通るには充分だ。
  その先の道は昭和30年代までは車が通ったとは思えないほど廃道化しており、ワイヤーのアンカーのようなものが時々あり危なっかしい。
  崖下には先ほど通った旧道が見えているが、旧々道は人一人分位を残して崩落した箇所もあり、また藪も茂っている。
 このまま現道に復帰しても面白くないので、もう一度明治隧道道を通ろうということになり、今度は近道をして崖を登ってみた。
すると。

 先程の旧々道の下は立派なアーチ橋のような暗渠になっているようだ、これも明治隧道と同時期のものなのだろうか。
 一度通れば慣れたもののである、今度は水溜りにもはまらず脱出した。