開墾場の滝(前編)

 君津市南部 三間川に存在する「開墾場の滝」はこの辺りに数多く存在する「川廻しの滝」であるが、その特徴ある雰囲気によって一部では知られた存在であるが、全く観光地かされておらずアクセスもそれ程容易ではないようだ。

 奥米台隧道

 さて、ここは前回のレポ終了地点である、奥米台隧道鴨川側。

 目指す「開墾場の滝」はここから程近い場所にあるという。
 しばらく進み、目星を付けたのがこの分岐
  
 一応の下調べはしてあるが、確実にここだという確証もない。

 しかしながら。他に候補もなさそうなので突入。
 左手に杉林、右手に畑を見ながら進むと、やがて一軒の農家の庭先を横切ることになる。

 自分が通った時は数人の子供が遊んでおり結構なプレッシャーを感じたが、突然自転車で現れた不審者?に対しても子供達は、見慣れているのか軽く「こんにちは〜」と挨拶するだけで特に驚く様子もなかった。
 
 こちらも軽く挨拶するだけで無事通り抜けることができたが、状況によっては関門になりうる場所であろう。
 農家の先は、猿対策か電気柵で囲まれた畑になっているが、脇を通って進むことが可能。

 この先抜けられる見込みもないので、自転車はここへ置いてゆく。

 GPSによれば、もはや滝は近いはずだが。

 発見 

 見えた!
 

 木々の間からしっかりとその姿を捉えた開墾場の滝。
 しかしながら下までは10m以上の高低差があり、ここから降りることは不可能。
 電気柵に囲まれた畑が終わると、風通しの良い杉の植林地になり、徐々に沢へ下りてゆくことができる。

 林内には踏み跡もあり、ここが滝への標準ルートか。
 この沢を遡れば、間違いなく滝へ到達できる筈である。

 幸いなことに、水深も浅く流れも穏やかで遡上に問題はない。
 それにしても、この水の清らかさ。

 似たような立地の「T秘境」とくらべてもく雰囲気はこちらの方が好み。

 画面中央に見えるのは小石が岩の隙間で回転して出来るという甌穴か。
 

 滝へ

 200m程行くと やや流れが早くなるが、特に遡行には問題ない。

 なんとも房総半島離れした風景だと個人的には思ったが、このような場所は他にもいくつもあるのだろう。
 到達

 遡行開始から10分もかからず開墾場の滝 到達。

 この日は前々日にまとまった雨もあり、水量に恵まれ期待通りの迫力だった。

 ご覧の通りこれは「T秘境」の急駟滝と同じく川廻しによる人工の滝である。
   別角度から

 この辺りで有名な滝といえば養老渓谷にある粟又の滝がなっといっても有名だが、全く観光地でないこの場所が周囲の雰囲気で勝っているのは当然としても何より違うのがその水質。

 滝壺の泡立ちがどうしても気になる粟又の滝に対してこちらは上流にほぼ民家も無く、きわめて清冽な水が落ちている。
   滝壺

 深さは2m程もあるそうだが、底も透けて見え改めて水質の良さを感じる。

 滝自体は人工のものだが、この滝壺は間違いなく滝の水流によって自然にできたもの。
 

 そして

 以上 完…。

 というわけにはいかないよね。

 この開墾場の滝、下からの流れも当然勇壮だが負けじとインパクトがあるのが上の落ち口を覗いた光景。

 巨大隧道の先が「ストーンと」なにも無い光景は想像しただけでワクワクする。

 当然上の探索もセットでと思う所だが、滝から20m程先にはおあつらえ向きのこのロープ。
   登れませんでした…。

 このロープ、1段目までは足がかり豊富でなんとか上がれるもその先は腕力だけで登る形となり、実力不足により無理はせず断念。
 
 しかしながら当初の予定も上は林道から下降して攻める予定であり、ここで無理をする必要もないか。

 
   ここは川廻しの滝であるから、滝壺の先も旧河床が続いており、こここそが川廻しの目的地でもある筈なのだが、現在では草に覆われた日当たりの悪い湿地になっており、かつてどのように活用されたのかを知ることはできない。

 それでも何処か上へ登れる場所は無いかとしばらく進んで見るも、状況は変わらず撤退。

 ここなどは比較的乾いていて旧河川の様子を留めているが、大概の場所は極めてぬかるんだ藪で、普通にあるくのもそう容易ではなかった。
 とりあえず、戻ります。

 滝の手前にあったポンプ小屋?
 
 現状パイプが全く水面に届いていないが、ここまで水が上がることもあるのだろうか?
 その先は人一人通れるくらいの幅の水路隧道になっているが現状水は無し。

 このような細い水路隧道は川廻しに付き物であるようだ。
   直接上へアクセスすることは諦め、とりあえず自転車を回収して林道へ戻る。

 先ほども民家の個所では、子供達は居なくなっていたが、代わりに散歩から戻ったと思われる犬にかなり吠えられたが、ちゃんと繋いであり特に問題なし。

 しかしこれも犬嫌いの人には関門になるだろう。


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