一度はその抗口をはっきりと捕らえたものの、密度の濃い藪に隙間は無く、そのまま進む事は出来ない。
ここまで来て撤退か。 とも思ったが辺りを良く見回すと笹の根元が幅50cm位の間隔で刈り取られた跡があった。
写真の方向が進行方向で、高さ2mを越す程の笹薮に空けられた小さなトンネルを身をかがめて進んでいく。
何とか藪をくぐりぬけると、堂々とした石組みの抗門がその姿を現した。
しかし激しい藪だった。一月だと言うのにこの状況だ。誰かが鎌持参で道を作ってくれたお陰で突破できたが、夏場には近づく事すら出来ないだろう。方法があるとすれば国道から崖を下るしかないか。
季節がら、この時間でも強い西日が逆光になる上に充分なスペースも無く良い写真が撮れないのが残念だ。
エンブレムの輝く竜田側と比べれば確かに地味だが、太い門柱を構えたその姿は充分に迫力を感じさせる。
更に接近すると石組みとレンガの組み合わせで出来ている事が分かる。
立地的に日陰になる時間帯が多いのか、全体的に湿った感じの抗門だがレンガや石に欠けは見られず、まだまだこの姿を保ちそうだ。
大きな篇額には右書きで、非常に達筆な書体で金山隧道と書かれている。
その内部はというと、入ってすぐの所から水没しており、当然のことながら、出口の明かりは見えない。
2枚上の写真でも分かるように抗口には人為的な物かどうかは謎だが、土砂が堆く積まれており内部の地下水が溜まる原因になっているようだ。
竜田側と違い太陽の光が差し込む事も無いのか、苔が生える事も無く入り口から煤で真っ黒に汚れている。
水深は見るかに深そうでとても入る気にはなれない
その後小高駅まで輪行し、桃内 小高間の旧隧道を探索した後帰路に着いた。
この区間の旧隧道もそれぞれ非常に個性的なものが揃っているが、それも大物金山隧道と比べればあっさりとしたものに思えてしまう。
ここが旧線区間への入り口である。あたりに立ち入り禁止を示すようなものは特に無く自転車ならば問題なく進入可能だ。
旧線も保線用の通路として使われているようではっきりと轍が刻まれている。
第一耳ヶ谷隧道
小高側のコンクリート壁が無粋である。
桃内側は崩壊が著しい。
泉沢隧道
丸い抗門が印象的。
藪に隠れて目立たないが壁柱も立派だ。
第二耳ヶ谷隧道
まるで金山隧道のミニ版のような抗門。
ここも藪に隠れて目立たないが両サイドも翼のようにレンガ壁が広がっている。
第三耳ヶ谷隧道
上の三つに比べればインパクトは薄いが充分に凝った造りだ。
桃内側のプレートが落下している。
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