天竜川林道 大津峠と西山林道    


天竜川林道は長野県の飯田線平岡駅付近と静岡県水窪町とを結ぶ林道だが、地図を見れば相当な屈曲ぶりで実際かなりハードな道程のようである。
 今回はそんな天竜川林道の静岡側と途中から分岐する西山林道を走ってみた。

 水窪市街


 2010年2月7日

 水窪市街の外れからスタートする天竜川林道。

 掲示板には「この先積雪のため チェーン規制」とある。

 高速道路や国道のチェーン規制は良く聞くが、林道のそれは珍しいと思う。

 恐らく降雪地帯の林道は一般に冬季は通行止になるのが普通で、ここはそれ程の積雪は無いということなのであろうか。
 
 一旦北へ進んだ林道はぐるっと向きを変え、水窪の街を見下ろす場所に出る。

 画面左側で大きくカーブした飯田線は茶畑の下あたりで長い長いトンネルに入っている。
 1.5車線程の舗装路がが続く天竜川林道であるが今だ積雪は無い。

 時折落石はあるものの路面状態は良好だ。
 30分程進むと、ようやく道端に残雪が現れる。


 ここは言うまでも無く林道なのだが、この先の塩沢集落や飯田線中井侍駅付近の住民の生活道路でもあり、かつては村道天竜川線という表記もあちこちにあったそうだ。

 大津峠 

 標高800mを越えると徐々に路面に積雪が現れる。

 写真の通りしっかりと轍があり踏み固められているが、凍った路面は滑りやすく自転車にとっては轍の無い新雪の方が走り安い場合もある。
 峠のトンネル、大津隧道。

 特に特徴も無いのっぺりとしたコンクリートの隧道だが、林道ということか結構な長さの割には無灯である。
 200m程の隧道を抜けると反対側は結構な積雪がある。

 こちら側もほぼ同じような雰囲気である。

 峠は真近だ。
 トンネルの先のカーブを曲がった先が標高870mの大津峠。

 観光地にあるような木製の看板が目を引くが、この辺りに名所旧跡の類はとくに無く道の険しさも相まって観光客がふらりと立ち寄るような所では無い。

 なおここから池の平矢岳線という林道が(旧)佐久間町の北条(ホウジ)峠との間を結ぶ計画があるようだが、未だ開通していないようである。
 昭和52年開通を示す記念碑。

 余り人の目に触れない割に立派なものが多い開通記念碑の類だが、これは今まで見てきた中でも相当なものだと思う。

 峠とはいってもここが最高地点ではないようで、まだ登りが続く。

 アイスバーン

 日当たりのよい場所の路面は乾いているが、日蔭に入れば一気にアイスバーンに変わる。

 ここなどは登りなのでまだグリップも効くが、下りになれば…。
 

 
 200m程で、二本めの隧道、その名も第二大津隧道

 先ほどとほぼ同じような雰囲気であるが、こちらの方がやや短いか。
 隧道を抜けた北側は、やはり積雪が多い。

 トンネルの先が急カーブになっている線形は昔の道には良くあることだが、ここは凍った路面と相まってより注意が必要であろう。
 ようやく道は下りに転ずる。

 路面はアイスバーン状態で、自転車にとってはもっとも苦しい状況だ。

 下りがきつく、あまりに路面がツルツルな場合は無理せず押して進む。  

 下りで自転車を押すというのもなんだが悔しいが仕方がない。

 古い社や地蔵は、林道開通前からの旧い人々の暮らしを感じさせる。

 西山林道

 峠から屈曲の激しい道をさらに2km程進むと、この西山林道分岐地点。

 愛知県 長野県 水窪市街 という大雑把すぎる行き先表示が印象的なこの場所ではあるが、冬に訪れるのは初めてだ。
 
 直進すれば、小和田駅入口 中井侍駅方面だが、今日は左折する。
 一部の地図には記載されておらず、ややマイナーな西山林道であるが、この分岐点と大嵐駅付近とを直線的に結び、利用価値は高い。

 ただ通行量はやはり少ないようで、アイスバーンの急な下りが続き、なかなかにスリリングだ。 
 15分程下ると、大分勾配も緩くなり、道端に結構大きな廃屋が現れる。

 かなり傷んでいる様子だが、隣には新しそうな電柱もあり、比較的最近まで住んでいたのかも知れない。

 今日は連日続いた寒さも緩み、屋根から解けた雪が勢いよく滴っている。

 大嵐駅近くまで下ると、路面の雪もほぼ無くなり普通の感覚で走れるようになる。

 しかし落石多発の険路であることには変わりは無く、油断はできない。




崖下に目をやると、幾重にも積み重なった軽トラの廃車体が…。

 魔のカーブで次々と事故が…というワケは無く、恐らく不法投棄の類であろうが、ざっと数えただけで4台はありそうだ。


 
西山林道起点から約35分でほんのわずかの間トンネルから顔を出す飯田線と顔を合わせる。

 ここまでくれば大嵐駅はもう間もなくである。