国道308号(榁木峠 暗峠) 前編  


 国道308号は奈良県奈良市と大阪府大阪市を結ぶ40km程の国道であるが、奈良⇔大阪県境の暗峠付近は狭路と急勾配の続く「酷道」として名高い。

 非常に有名なスポットで、大阪市街から近いこともあり、ネット上には数えきれないほどのレポートが存在する。

 また、奈良市と大和郡山市の境にある榁木峠付近も見どころが多いようだ。

 メジャーすぎて今まで行く気になれなかったのであるが、一度は自分の目で確かめたみたい。

 起点


 2011年3月2日

 新装なったJR奈良駅。

 馴染み深い手前の旧駅舎も外見はそのままに、観光案内所として再オープンしている。

 改装に際してこの昭和9年竣工の旧駅舎は、建物を解体する事無くジャッキアップして18mも北側へ移動したという。

 新駅の工事中にも訪れたことがあるが、そういえばもっと画面右側にあったような気もする。

 
 本題の国道308号であるが、この青看にある国道24号との交差点が起点であるようだ。

 行き先には大きく 大阪 生駒とあり、酷道などというものは微塵も感じさせない。
 と思ったのもつかの間。

 近鉄尼ヶ辻駅付近で第二阪奈道路方面と別れると、道は一気に狭くなる。

 青看にも行き先が示されていない。

 一コマ前の青看は第二阪奈道路経由を示しており、こちらが現在の国道308号のメインルートである。

 ただ、第二阪奈は自動車専用道路の為、これから辿る道も国道指定されたままになっている。

 1.5車線程の幅員が続く国道308号だが、奈良市の住宅街の中を通っており、交通量は少なくない。

 路線バスも結構な頻度で走っているようで、ちょうど通りががった時にも狭い所で乗用車とはち合わせて、バックで道を譲るシーンが見られた。

 酷道へ 

 出発から15分程で、県道7号枚方大和郡山線と交差する。

 我が国道308号は直進であるが、この青看も細く書かれた国道側には行き先が示されていない。

(マウスオーバーで拡大します)

 個人的にはこの区間のハイライトだと思うシーン。

 田んぼの中を通る一車線の道はどう見ても国道には見えない。

 煤けた「おにぎり」が寂しげである。
 田園地帯を抜けると、いかにも旧街道沿いといった感じの立派な家の建ち並ぶ一角を通る。

 車と自転車のすれ違いさえスムースには行きそうにない狭さであるが、拡幅するのは容易ではなさそうだ。
 景色は目まぐるしく変わり、この辺りから奈良市と大和郡山市の間に位置する榁の木峠へ向けての登りが始まる。

 相変わらず道は一車線であるが、交通量は皆無ではなく地元の人の往来は結構ある。
 出発から5km程で、第二阪奈道をオーバークロスする地点に出る。

 掘り割りの下の第二阪奈道も国道308号であるのは前述の通りで、兄弟同士の交差ではあるがその幅員、交通量は兄と弟では比較にならない。

 (マウスオーバーで第二阪奈道へ)

 古道

 時々思い出したようにある国道308号の文字。

 このあたりで常時積雪があるとは思えないが、一たび積もれば峠への急勾配を登れない車もあるのであろう。
 ブレた写真しかなくて申し訳ないが、オーバークロスから100m程で現在も村井家住宅として残る追分本陣前を通る。

  右大坂 の道標が立派である。
 二コマ前と同じチェーン携行を呼び掛ける看板ではあるが「車輌」と「通行」の部分以外をガムテープで消そうとした形跡がある。

 現状剥がれて元に戻ってしまってはいるが、その意図は不明である。
  
 指さしマークが印象的な道標。

 右やたさん 左 むろのき峠と読み取れるが、いつ頃建てられたものなのであろうか。

 榁木峠

 出発から2時間近くもかかってでようやく榁木峠へ。

 辺りはハイキングコースになっており、ちょうど梅の時期でもあり、今日は平日ではあるが何人かのハイカーとすれ違った。

穏やかな登りか続いた奈良市側に対して、大和郡山側はコンクリート舗装の急勾配が連続する険しい道となっている。

 写真ではなかなか勾配の様子が伝わりにくいのであるが、最も急な個所では下りで自転車に乗車するのも困難な程である。 
 やがて生駒市街の眺望が開けると、道幅も広くなる。

 画面左側には足湯のある公園があり、それと関連した整備なのかもしれない。

 正面右のアンテナが建つ山から左に下がった辺りが暗峠であろうか。
 国道は足湯の先で2車線の道にぶつかり、そのまま北上する形になる。

 一見まともな道に出世したようにも見えるが、この区間は生駒市道との重複区間であり、国道が市道を間借りするような形になっている。

  
 重複区間は僅か200m程で終わり、国道308号は再び酷道への道を歩み始める。

 直進の二車線道路が生駒市道、国道は左へ分岐するセンターラインのない道の方である。


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