中津川市奥三界山麓の大木橋   


 
  岐阜県中津川と長野県の県境にそびえる奥三界山 名前の通り非常に「奥」にある山で、登山口の夕森公園から相当長い林道歩きをこなさなければ山頂に近づく事も出来ない山である。

さて表題の木橋だが、この林道の終点近くにあるようだ。
 普段木橋というと、登山道にあるような簡易なものや既に朽ち果てて利用出来ないものを想像するが、これは自動車の通行を前提とした大型サイズだという。冬季は相当な積雪があると思われるこの立地でそのような木橋が残っているならば大変貴重なはずである


 夕森公園

 2009年10月20日
 中央本線坂下駅から、川上川沿いの県道を経由して、今回のターゲットの林道及び、奥三界山登山の起点となる、夕森キャンプ場へ向かう。

 入口の林鉄機関車が興味を引く夕森公園だが、シーズンオフの平日とあって殆ど人影もなくひっそりとしている。
 
 この説明書きの通りではあるが、今日出発した坂下駅に隣接した新坂下駅から、この場所にあった丸野駅まで「坂川鉄道」がかつて存在した。(1956年廃止)

 木材搬出が主目的である軌間762mmの「林鉄」であったが、1940年まではここから約2km手前の奥屋駅まで旅客営業も行われていた。

 なお上松運輸営林署から来たという機関車が乗っている鉄橋だが、現役時代はこの橋脚の上にトラス橋が乗っており、もっと高い位置を線路は通っていたようだ。

 たしかに接合部分を良く見ればどこか不自然ではある。
 キャンプ場の奥から、「夕森田立林道 丸野併用線」へ入る。
 この林道の最奥に件の木橋は有るはずである。
 
 「併用林道」というのは、地元市町村が林道を借り受け、実質的に市町村道として管理され、自由に通行ができる林道であるという。
 
 そのため多くは舗装され、道の規格も林道レベルでは無いのが普通であるそうだが、ここは起点付近こそコンクリート舗装がされているものの、すぐに普通のダート道へと変わる。

 道路から10m程入った山の斜面に謎のコンクリート建築物が。

 最初、入口にもあった林鉄関係の遺構かとも思ったが、たしかにキャンプ場奥、奥三界山方面へ線路は伸びていたものの、それは川上川沿いに直進するルートを取っていたようで大きく西側へ迂回するこの林道とはあまり関連性はないようだ。

 試しに近くへ行ってみたが、コンクリートの穴に奥行きは無く、用途は不明のままだ。

 併用林道 

 しばらく進むと、道はその荒々しさを増す。

 前述の通り、この林道は「併用林道」である筈だが、この辺りに関しては規格も整備状態も到底市町村道レベルとは思えない。

 大小の石が散乱するガレたダートの登りは自転車にはなかなかきついものがある。
 坂下の市街地を眼下に見下ろす。

 この年(2009年)は猛暑が続いた今年と比べて季節の進みが早く、10月中旬でも既に木々が色づき始めていた。
 ガレたダートが基本のこの林道だが、勾配が特にきつい所を中心として時折舗装されている個所もある。

 赤く錆びたガードロープの支柱が並ぶここなどは、林道というよりも峠越えの国道の旧道を思わせるような光景である。
 時折沢を渡りながらさらに高度を上げてゆく道だが、車の通行はそれなりにあるようで、轍はしっかりしている。

 橋の雰囲気から想像すると、昭和40年台くらいのものであろうか。
 夕森公園から約1時間ちょっとで、一般車通行止めのゲートに到達する。

 看板には「一般通行禁止」とあるが、奥三界山の登山ルートであるので徒歩での通行は問題無い筈である。

 バイクは禁止のようだが。

 木橋へ

 ゲートを過ぎても道の雰囲気はそれ程変わらず、ガレたダートの登りが続く。既に標高は1000mを越えていると思われるがまだ終点は見えてこない。  


 写っている車は工事関係者のもので、これ以外にも奥へ入って行く車に何台か追い抜かれた。

 
 山肌を横断する二本のライン。

 手前は今通ってきた道、奥は目指す木橋の地点から分岐して先へ進む林道のようだ。
 銅穴の滝コースとの合流ポイント。

 夕森公園から川上川沿い進む銅穴の滝コースは、最初に出てきた林鉄もたどったルートであり、いずれ通ってみたいと思っている。
 やがてで正面の眺望が開ける地点に出る。

 奥三界山は写真左上奥方面の筈である。それよりも、ここでついに目的の木橋を視界に捉えた。

 画面では解りにくいかもしれないが、中央の谷上部にしっかりと写っている。

 到達

 荒涼とした雰囲気の林道を行く。

 銅穴の滝コースとも合流し、奥三界山へのルートはここ一本になったのだが、今だ誰とも出会わない。

 相変わらず勾配はキツく、自転車に乗っているというのにコースタイムと変わらない時間がかかっている。

 しかし、帰路では大きなアドバンテージがある筈である。
 そして、ついに…。

 これは噂に違わぬ大木橋。しかも下部には、なぜか比較的新しそうな橋が併行して架けられており上部には大きな滝が。

 

 
 焦る気持ちを抑え、最後の直線へ。

 どうやら林道と木橋とは直接つながっておらず、先ほど見えた新しい橋をまず渡る事になるようだ。

 
 登山者の間では知る人ぞ知る存在であったろうこの木橋だが、実際目の前にすればそのインパクトは相当なものがある。
 
 情報通りこれは完全に車道橋で、ここから下の鉄橋を渡りスイッチバックするような形で到達するようだ。


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