国道418号笠置ダム〜丸山ダム区間 2011(第二回) 



 岐阜県東部を流れる木曽川にそった国道418号笠置ダム〜丸山ダム区間はどの道路地図にも国道を示す赤の実線でしっかりと書かれているにも関わらず、実際にはその大部分が車の走行がまったく不可能な事実上の廃道状態でありネット上ではきわめて有名である。
 
 2008年5月に一度ここを訪れレポートしているが、最近の詳しい状況は不明であり、丸山ダム近くの二股トンネル付近で崩落が発生しているという情報もあり、近況が気になる所である。

 轍と落石

 看板の先にあるこの崩落。

 2008年当時でもすでにかなり落ち着いた状態であり、自転車を抱えてでも特に問題とはならない。

 ガードレール沿いにはしっかりとルートが付けられており、ここを通る人は少なく無いようである。
 それをさらに裏付けるような真新しい自転車の轍。

 ネットで検索しても知名度とは裏腹にそれ程新しい踏破記録は出ないこの場所だが、人知れず通過する人は確実に存在する。

 この辺りの路面は元々ダートであろうか。

 石垣の法面にガードレールもない道は古道のような雰囲気もある。
 この巨大落石は記憶に無い。

 直径1mは優にある大物だが、風化した様子もなく最近のもののようだ。

 片洞門

 景色は目まぐるしく変わり、オーバーハングした崖が片洞門的な風景を造り出すこの地点。

 この岩のパーツがボロっと外れると先ほどのような巨大落石を生みだすのであろうか。

 

 その先もガードレールが設置されていた様子すらないスパルタンな区間が続く。

 こんな所で対向車と出くわせば…。
 時折視界が開け、木曽川の流れの風景が広がる場面もあるが、こういった所は日当たりも良く籔や灌木の枝の勢いも盛んだ。

 しかし先ほども述べたように、ここを通る人は少なくなく踏み跡はしっかりしているのでそれほど困難という訳でもない。
 ダム湖沿いでは良く見かけるダム放流による水位上昇への注意を呼び掛ける看板。

 書き出しは「この川の上流1.5kmに笠置ダムがあり…」とそれ程進んでいないな、と思った。

 また後ろの「ダムから14q」というのは丸山ダムまでの距離である。

 その後ろの頭の無い標識柱も気になる所だが、駐停車禁止あたりか。それでは看板も読めないが。

 ちょっと寄り道 

 ダム放水の看板のすぐ先にあるこの構造物。
 
 前回のレポでは橋脚?などと書いてしまったが、どうやら違いそうである。

 今日は少々時間を割いて調べてみようと思う。

 上の写真を見ると、路肩の先がすぐに断崖でコンクリートの柱が川の中に立っているようにも見えるが、実際にはそうではなく道路の下には結構な平場があり、岸に降りて構造物に近づく為の階段も存在した。

 さっそく降りて見る。
 木曽川の水面が見渡せる場所まで降りるとこの風景。

 道路からは見えなかったが、金属製の太いパイプが水面まで下ろされているようである。
水面近くのアップ。

 パイプはどうやら現状の水位では水に接していないが、元からそうだったのかは不明。

 人工的と思われる窪みには白いペイントがされたモノもあるが、穏やかそうに見える水面も水深は計り知れないものがありそうで、あそこへ行って調べるのはちょっと無理…。
 さらに降りて全景が見渡せる場所まで来た。
 
 国道から見えていたのは、少々木に隠れて見ずらいが上部のコンクリート部分のみで(コンクリートと岩の境目に生えている木もスゴい)その下は岩に直接パイプが取り付けられている。


 さて、これは何なのであろうかといった所だが、ちょっと調べた所、河川水位テレメータ観測局の遺構(参考)という線はどうであろうか?

 ただコンクリート柱とこのパイプ以外の遺構は無く、これ以上のことは解りそうにない。 
 パイプの傍らには金属製の角材が水面近くまで下ろされている場所もあった。

 これは陸からボートでも下ろす為のものであろうか?

 無論今は使われていないが。

 国道は続く。

 河川水位テレメータ観測局の遺構?から5分足らずでこの崩落地に金属製の梯子が掛けられた地点。

 これは2008年の時点から存在していた。   
 これは2008年時点の状態。

 崩落発生からそれ程時間も経っておらず、今現在よりも岩のエッジが立っているように感じられるがそれ程の違いは無く、この場所は安定しているようだ。

 またこのような処置がなされるのはこの道が完全に放置された廃道ではなく、登山道レベルでの保守は続けられているということであろう。

 
 見つけるとなぜかうれしいガードレールの祖先、駒止。
 
 もっともこの低さ、間隔の広さでは車輌の転落防止には役立ちそうにも無い。 
 この先国道418号完全不通区間も中盤に近づくが、籔もさることながら断続的にぬかるみエリアが現れるようになる。

 これは今日の雨の為という訳ではなく、山肌を流れる沢が行き場を無くして路上を浸水させているのが原因である。

 靴はなるべく濡らしたくないものだが、あまり路肩側に寄るのも危険でなかなか厄介だ。

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