神大滝林道(滋賀県⇔三重県) 前編 



三重県鈴鹿郡関町と滋賀県甲賀市に跨る東海道の難所、鈴鹿峠。それと並行して県境を通過する神大滝林道、現行版の道路地図にも林道ながら名前入りでしっかりと記載されているが、旧版のツーリングマップルには「大自然の厳しさをその身をもって知る」との記述があったという、曰く付きの林道である。
 ただ、国道1号からのアプローチは当然良く、荒廃した区間も長くは無いようなのだがしかし…。
 2009年8月中旬の非常に暑い日にここを訪れた。

 国道1号

 東京と京都を結ぶ国道1号。
 500kmを超える長い道のりも終盤にさしかかった三重・滋賀県境に位置する、鈴鹿峠区間。

 今日は平行するように存在する神大滝林道、坂下峠を目指す。
 箱根に次ぐ東海道の難所とされるこの鈴鹿峠だが、滋賀県側と比べれば険しいとされる三重県側でも比較的緩やかな上りが続き、このような暑い日でも特に苦労もなく進むことができる。

 ちなみにwikipediaには「自転車での通行はブレーキが焼き付いてしまう危険が非常に高いため、推奨できない」との記述があるが、これは大げさと いうよりもこの程度峠の下りで自転車のブレーキが焼きつくなどということは決してありえない話で、編集者は自転車で峠を下ったことが無い人であろう。
 
 しばらく行くと、上り線と下り線はそれぞれ2車線づつの別ルートで、峠を目指すようになる。

 この下り線は1978年に増設されたバイパスで、道幅も広く走りやすい道となっている。


 

 亀山駅から1時間程で鈴鹿トンネルに到達。

 現在下り線専用となっているこのトンネルは前述の通りバイパス開通時のもので、コンクリート製の無個性な抗口となっている。
 ちなみにこれが、現在上り専用となっている鈴鹿トンネル(三重県側2011年11月撮影)

 大正13年竣工の鈴鹿隧道を平成2年に拡幅したものだが、旧来の重厚なデザインをそのまま再現している。
 
 右側の擁壁に見えるのは篆書体で書かれた旧来の扁額である。
   また、トンネル中央付近には旧来の懸界票も移設されているという凝りようである。

 (反対車線側にも金属製のプレートあり)
   鏡石付近から見る、鈴鹿トンネル付近の国道1号。

 高い位置を通るのが下り線、低い位置を通るのが上り線。

 鈴鹿峠

 トンネルを抜けた先が滋賀県との県境となっている。
 ここからは下りになるが、滋賀県側は極めて穏やかな道程で、ブレーキが焼きつくことなど無いのは勿論、特に難所といった感じではない。

 


 
直線的な道を軽快に下って行くと、20分程で県道129号との分岐に達する。

 ここからさらに神唐戸川林道へと入ってゆくが、目指す神大滝林道はまだ先だ。
 所々荒れた所もあるが、全線舗装の林道を進んで行く。

 最初は沢沿いの薄暗いルートで、小さな虫がまとわりつき快適でなかったが、やがて写真の小さな峠を越える頃にはそれも気にならなくなった。

  
 苔のついた舗装路をゆっくりと下ると、別の林道に合流する形となる。

 神唐戸川林道の終点と思われる看板もあり、ここからが神大滝林道になるようだ。

 林道へ 

 今まで一台の車とも出会わず、交通量非常に少ないと思われるこの林道だが、周囲の山への登山ルートとしての需要もあるようだ。
 
 道標にしたがって坂下峠を目指す。
 かつての休憩所?倉庫?と思われる建物。

 壁に取り付けられた注意書きの言い回しが独特。(マウスオーバーで拡大します)昔は普通だたったのであろうか
  やがて林道は沢沿いに緩やかに登る直線的な道になる。

 こんな暑い日には爽やかな流れを眺めながら進み木陰もある道は快適であるが、噂に聞く荒廃した神大滝林道のイメージとは全く異なる。

 
 
写真で水の色を捉えられないほどの清らかな沢。

 辺りにはギンヤンマも飛んでいて、自然豊かな感じだ。


 
 穏やかな道はやがて方向を変え、峠へ向けて登り始める。

 滋賀県方面の眺望も開けるが通る車も少ないようで、路面状態も悪化し始める。

 峠方向へ目を向ければ、荒々しい岩肌が露出した斜面が見える。

 この辺りの山は崩れやすい地質なのであろう。

 神大滝林道

 舗装路こそまだ続いてはいるが、ここなどは崩落土の上に根付いた植物が路面を侵略しつつあり、ほぼ管理されていない状態が想像される。

 
  
 そしてついに舗装が切れ、ダートが始まる。

 神大滝林道の未舗装区間は僅かとのことで、峠は目前か。
 まともな舗装路は続かず、道の荒れ方は加速度的に増していく。
 
 ここなどは道の半分以上が落ちており、既に四輪での通過は難しそうだ。




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