公共交通機関利用で目指す鈴鹿セブンマウンテン踏破
(概略前編)
  

 昭和39年に近鉄が制定した「鈴鹿セブンマウンテン」 北から藤原岳1144m 竜ヶ岳1099m 釈迦ヶ岳1092m 御在所岳1209m 鎌ヶ岳1161m 入道ヶ岳906m 以上7峰の踏破を目指すのが、今回の企画である。

 近鉄が企画した登山大会が由来というこの7峰だが、三岐鉄道三岐線終点の西藤原駅から徒歩で登れる藤原岳以外は交通の便が良いとは言えず、最もメジャーな御在所岳さえも登山に適した早朝のバスは夏季の土日にしか運行されていない。
 その他の山に関しては現在では殆どバスも無く、タクシーを利用しないかぎり実質的に自家用車利用が必須になっている。

そんな鈴鹿セブンマウンテンだが、輪行による自転車利用で回ってみようと思う。登山口までのアクセスだけなら自家用車に利便性で到底かなわないが、その先の林道歩きなどではメリットもありそうだ。
 

 @竜ヶ岳(1099m)

   2009年11月24日

 三岐鉄道三岐線の終点から通行止めが続く国道421号を走行し、NTTのアンテナが立つ石榑峠から登山道へ入る。
 

 所々深く掘れてはいるが、明瞭な登山道を1時間ほど登ると、笹が生い茂る稜線に出る。

 眺めは上々だが、風が強い。

 笹はしっかり刈られており、進むのに支障は無い。


 さらにそこから東側斜面の大ガレを見ながら20分程登ると、標高1099.6mとある山頂に到達する。

 辺りには数々の私製碑が建ってはいるが、これは唯一オフィシャルな物だと思われる。

 辺りに遮るもののない山頂にはとても冷たい風が吹き抜けており、早々に退散する。

 
登ってきた方角を振り返ると、遥か下に峠とNTTのアンテナを望むことができる。

 奥に見えるのは釈迦ヶ岳、山頂に雲がかかっているのは御在所岳であろうか。
 その向こうには国道421号と同様に2008年9月の災害で通行止めが続く鈴鹿スカイラインが通っているが、その現状は気になる所だ。

 
 行きには寄らなかった、7合目付近にある「重ね岩」。

 見た目よりも滑りずらいようなので登ってみたが、景色は上々だった。

 
帰りは滋賀県側へ抜け、八日市駅から帰宅した。
 
 
 コース 
 西藤原駅〜国道421〜石榑峠〜山頂〜石榑峠〜八日市駅

 A御在所岳(1209m) 

2010年3月22日

 近鉄湯の山温泉駅から国道477号へ入り、2010年3月現在でも通行止めが続く鈴鹿スカイラインを走行する。

  武平峠手前の通行止め地点を過ぎ(自転車は登山口まで可)中道へ。
 前日の雪が残る登山道を進む。

 この日は休日の上晴天に恵まれ登山者も多かった。
  
 25分程でおばれ岩を過ぎる。
 
 中道にはこれ以外にも奇石が多く存在する。
 標高900m地点のキレット

 見た目は怖いがルートは解りやすく慎重に行けば難しくは無い。

 ここが凍結していなかったのは助かった。
 山頂部とロープウエー

 空気が澄み虫も居ないこの時期は、実に登山に適している。
 三角点ピークから山上公園方面を望む。

 一般的には例年よりも積雪の多かったこのシーズンだが、ここ御在所に関しては雪は少なかったようでスキー場も早々と閉場したようだ。
 立派な碑が立つ一等三角点のある山頂。

 登山者は勿論、ロープウエーとリフトでやってきた軽装の観光客もいて人が多い。 
 望湖台付近からの眺望と樹氷。

 既に3月も終わろうとしてたこの日だが、放射冷却で気温が下がり、運良く樹氷も楽しめた。
 帰りは裏道へ。

 こちらは特に岩場も無く中道よりも安全で下山路として適している。
 また藤内小屋先の崩落地はう回路が整備されている。

  コース

 湯の山温泉駅〜国道477号〜中道―山頂―裏道―国道477号〜四日市駅       

 B釈迦ヶ岳(1092m)

 2010年3月30日


 近鉄湯の山線菰野駅から、朝明キャンプ場を経由して登山道となっている林道を進む。

 キャンプ場を過ぎて有る程度までは何とか車も通れる状態を保っている林道だが、進むにつれ荒れ放題の状態となる。
 
 しかし登山者によってしっかり踏み固めらた道は自転車での通行ならば特に問題はない。

 林道以外に独立した登山道もあるようだが、あえてこちらを歩く人も結構いるようだ。

 林道終点に自転車を置き、猫岳経由の県境稜線を進む。

 笹と灌木の尾根道は明瞭で歩きやすい。

 写真は猫岳を振り返った所。
 明後日はもう4月なのだが、この日は雪が多かった。

 しかし恐らく昨日降ったばかりの雪が残っているだけのようで特に滑る事も無くザクザク踏みしめて進む。
 いくつかのアップダウンを繰り返して三角点のある山頂へ。

 北側が樹木に覆われてはいるが、それなりに眺望はある。  

 
 東側は伊勢湾から遠く名古屋市方面と知多半島を望む。
西側を見れば琵琶湖の眺望が。
 帰りは基本的に来た道を戻ったが、行きに寄らなかった羽鳥峰を経由した。


 さらさらとした砂礫の風景が独特の景観を形作っている。

 「友だち」の石文字は結構前からあるようだ。

 コース

 菰野駅〜朝明キャンプ場〜林道終点―山頂―羽鳥峰―林道終点〜朝明キャンプ場〜菰野駅

 B-2釈迦ヶ岳(1092m)(冬季)

 2011年2月14日


 前回と同じく、菰野駅から登山口の朝明キャンプ場を目指す。

 この時点では雲ひとつない晴天だが、予報は微妙。

 鈴鹿の山々にはしっかり雪がありそうだ。

 標高500m程の朝明キャンプ場へ向かう道を登ってゆくと、徐々に道端に残雪が現れる。


 駐車場までは除雪されていたが、その先は圧雪状態となる。
 前回は林道コースをとったが今回は途中から登山道へ入る。

 恐らく前日に付けられたと思われるトレースもあり、この時点では快適な雪山歩きである。
 程なくしてハト峰へ。順調な進み具合なのでピークへ登ってみた。

 この辺りは風が強いせいか斜面の積雪も少ない。

 もっとしっかり雪が付いていれば、下までひと滑りな感じなのだが。
 
 ハト峰から林道コースと合流し、県境尾根を進む。

 予報通り小雪がちらついてきたが、風はそれほど強く無い。

 雪庇の上の足跡は鹿であろうか。
 いくつかのピークを登り降りして猫岳へ。

 途中からはワカンを装備したが思ったよりも時間がかかっている上に天候も悪化傾向で、ここで引き返すことも真剣に検討した。

 B-2釈迦ヶ岳(1092m)(冬季)

 しかし何とか行けると判断し、13時撤退を決めて前進を続ける。

 猫岳からの下りはかなり急でもったいない程に標高を下げるが、あとでの当然登り返さなくてはならず楽しく無い。

 この先はトレースも消え、まっさらな雪原の中をひとり進む。

 今日は1人の登山者とも会っていないが、この様子だとこのまま誰とも会わずに終わりそうだ。
 
 何とか予定通り13時前に山頂に到達。

 もともとそれほど眺望の無い山頂だが、きょうは辺り一面真っ白である。

 何枚か写真をとって早々に下山を開始する。
 時間が経つにつれ、雪の降り具合も強くなってきた。

 風は弱くそれ程寒さは感じないが、行きに付けたトレースも消えがちであり、先を急ごう。
 
 好天であれば、楽しい樹氷のプロムナードといった所であろうが、今日はちょっと余裕がない。

 この辺りで何頭かの鹿を見た。

 今年は動物達にも苦しい冬であろう。




 帰りはハト峰手前から林道コースを行く。

 積雪はやはり深いがもはや道を失う心配はなく、安心して進めるというもの。




 なんとか15時過ぎに自転車を置いた地点へ帰還。
今日の天候を物語るこの姿を見て、一瞬笑ってしまった。

 しかし、本当に大変なのはここから菰野駅までの下りだった…(この日は名古屋市内まで雪)


 コース
 菰野駅〜朝明キャンプ場〜ハト峰―山頂―林道終点〜朝明キャンプ場〜菰野駅


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