国道336号「黄金道路」旧道群2007 前編
 黄金道路とは、日高襟裳国定公園を通過する、太平洋の怒涛と風化の激しい岸壁をさらした急崖に挟まれた、国道336号えりも町庶野〜広尾町広尾橋までの約30kmの区間の愛称である。

 この区間の開削は寛政10年に始まり、以降明治政府よる整備を経て昭和2年にはそれまでの山道から海岸ルートとして改良工事が行われ、昭和9年に完成した。
その後、断崖絶壁からの落石や雪崩によってたびたび通行止めとなるため、昭和42年から本格的な改築工事に着手し、昭和56年」に一次改築が完了した。

この区間は昔から難工事の連続で、黄金を敷き詰めるくらい多額の費用を要したという意味から、「黄金道路」と呼ばれている。  …北海道開発局「北へクリエート40」より

 現在でも改良工事は続いており、当然旧道遺構の宝庫でもある

 広尾橋

   2007年8月22日

 浦幌から襟裳岬を廻って海沿いに苫小牧を目指すツーリングの2日目。

 今日は日高本線の終点、様似駅前が目的地だが、黄金道路、襟裳岬と見どころ多数である。


 北海道広尾町広尾橋


 黄金道路の終点。

 前日は旧広尾駅前の旅館に泊まり体調も万全

 チャリを見ての通りのツーリング仕様だが旧道探索も出来る限りチャレンジするつもりである。
 ツチウシ覆道


 画面左に見えるゲートが「黄金道路」区間の始まりを示してる。
 
 今日は快晴、微風の好天であるが、ひとたび海が荒れれ飛沫が降りそそぐ難路となるという。

 
 続いて、浜フンベ覆道

 レリーフが目を引く。


 北海道にクジラのイメージはないが「フンベ」とはアイヌ語で「クジラの獲れる浜」の意味とのこと。

 
   内部はこの通りの快走路

 過剰とも思える程幅広な歩道が目を引くが、当然歩行者は皆無。

 通る車も思いだしたように大型トラック、地元の軽トラ、観光客のレンタカー、ツーリングのバイクが通る程度で、自転車で車道を走行しても怖い思いをすることも無い。

 フンベの滝 

 覆道の由来になった「フンベの滝」

 
 この画像だと随分とみすぼらしい感じにも見えるが、冬には道路脇の斜面が全体的に氷柱で覆われ、それは見事な景観を造りだすらしい。
 
 フンベの滝脇に設置された観光看板。

 隣は「北をクリート40」なる、北海道開発局によってこの黄金道路が「北海道開発局名評40選」に指定されたというもの。

 40選とは何か中途半端だが他には稚内の北防波堤ドームや国道12号の直線道路も選定されているようだ。
 旧道発見!

 しかし、ここは踏みこめそうにない。

 路肩には縁石のようなものが見えるが、道の半分以上が消滅しており、荒波の破壊力とこの場所の過酷さが見て取れる。
 
 フンベ隧道

 いままでの構造物よりも少し年期が入った雰囲気
山側の歩道も過剰な広さはなく、自転車は車道を行く他ないが、前述の通り交通量は少なく恐怖はない。
 
 「隧道」というネーミングは覆道の先が突き出た岬を貫くトンネル状になっている為と思われるが、古い構造物では完全なロックシェードも「隧道」と名付けられる例もある。
 

 音調津

   フンベ第一覆道

 先ほどのフンベ隧道と似た雰囲気だが、歩道が若干広い。

 今日は高波注意の標識が滑稽に思える程の穏やかな海である。

 山側の立ち入り禁止も気になるが、旧道関係ではなさそう。
   浦河76km

 庶野28km

 前述の通り、今日の宿泊予定地は浦河の少し点前の様似駅前だが、この距離は襟裳岬を経由せず国道のみでショートカットしたものだと思われ、自転車の身としてはあまり余裕もない。(当然襟裳岬へは行きます)

 庶野は黄金道路の起点だが、最初に出てきた黄金道路の全長は28kmで、青看とは少々解釈が違うようだ。

 いずれにしてもあまり進んでいない事に間違いは無い。
    これはフンベ第二覆道?

 海側に旧道があるが、荒海との間にはガードロープ3本のみというスパルタンぶり。

  路面のゴミやロープにからまる海藻も日常的に荒波に洗われる旧道を想像させる。
   オリコマナイ覆道

 「オリコマナイ」とはざっとネットで調べた所、「丘の上にある川」というような意味のようだが、なんとも耳に残る響きである。
 音調津集落を通過

 いかにもアイヌ語由来といった感じの名前だが、いにしえのの旅人がここで黄金道路開通前、波穏やかな事を確かめながら海岸線ギリギリの磯場を行くといったイメージの湧く秀逸な当て字だと思う。
   
  穴埋めテストのようなカニ密漁禁止の看板だが、良く読めば素手て獲るのは許可されている?

 しかしハナサキガニは素手でで届くような所にはいなそうである。

  正解はここをクリック
 
 


 重蔵トンネル

    モケイシ第一覆道

 これは比較的新しそうで、歩道も広い。

 先に続く山肌は垂直に海に落ちており、難路はまだまだ続く。
   前方の岬に開いた二つの穴!

 否応なしに期待が高まる。
 ここはルベシベツ。後述のルベシベツ山道の起点となった。

 右は現道のタニイソトンネル(2005年竣工 2020m)

 そして左は…。
     重蔵トンネル

 この名は当然ながら江戸末期この地に北海道の道路の祖となる「ルベシベツ山道」を開いた、近藤重蔵にちなんでいる。

 左の石碑は東蝦新道記碑というルベシベツ山道の開削に関するもので北海道有形文化財に指定されいる。

 坑口前のゲートは現役時代のものであろうか?
   さて…。

 この日はトンネル前でなにやら作業が行われており、突入をかなり躊躇させたが(何しろツーリングの途中で時間が無い)
 
 程なくして無人となり進行再開。
   トンネル自体は短く、すぐに覆道状になる。

 しかし、無情の封鎖。

 残された区間は僅かだが、この時点(2007)では旧道落ちから2年程しか経っておらず路面もまだ新しい。

 
 
 終わりません…

 前述の通り、今日はこれから襟裳岬を廻って様似までとかなりの距離を残しており、正直余裕はないが好奇心には勝てない。

 この先旧道が続々と…。

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