高瀬橋対岸への道(長野県) 





 飯田線随一の「秘境駅」小和田駅の西方にある高瀬橋。
 天竜川の支流、河内川を渡り一つ先の中井侍駅方面へと続く規模の大きな吊り橋であったが、相当前に落橋し渡る事はできない。
 小和田駅周辺の大きな見所の一つであり、ネット上のレポートも数多いが、対岸の中井侍駅側の現状に関する情報は多くない。

 中井侍

 2011年9月上旬

 今回の探索の起点になるのは当然ここ、中井侍駅。

 民家は駅上部の斜面に一軒のみという駅であるが、18キップシーズンということもあり、自分の他にもカメラをもった乗客が一人下車した。
 早速自転車を組立て、目的の道を目指す。

 駅から道路は見えないが同じような雰囲気の田本駅とは異なり、階段を少し登れば舗装路に出る。

 しかしその道はこの狭さ。

 時折ガードレールの無い場所もあり、車での通行には気を使いそうだ。

 道路に出てから1km程でこの分岐点へ。

 目指す高瀬橋への道は上である。

 ちなみに下はというと天竜川本流を渡る平神橋を経由して険道とも揶揄される県道1号に通じているが、ここまでの道がそれを遙かに超えるレベルなのは見てきたとおりである。
 分岐の手前にちょっと気になる看板が…。

 にゃ、にゃんこ…。
 
 「福士組」関係者の趣味であろうか。
 猫の手型の切り抜きといい、相当な猫好きの仕業とみた。

 分岐

 行き止まりが確定しているこの道であるが、このとおり新しい轍がしっかりと刻まれており、未舗装ながら通行には支障がない。

 地図にもしっかりと書かれている道でありある程度の通行の需要はあるようだ。
 

 ちょっと道が広くなった所にトラックが二台。

 
 今まで特に通行止等の表記も無いいが、ちょっと嫌な感じではある。

 今回のレポは写真の出来がイマイチであるが、このような日差しの強い日の撮影はテクニックがいるようで、ご容赦願いたい。
 幸い工事関係者と出会うこともなく100m程進むと再び車。

 この写真では分かりづらいが道のど真ん中に停めてあり、なにやら状況に変化がありそうだ。
 廃道来ました。

 車の横をなんとか通り抜けると、予想通りというかこの状況。

 コンクリートの短い橋の先は日当たりのよい草むした路面が続いている。

 しかしまだ自転車を諦めるような状況でもない。

 廃道へ 

 
 これは無理


 クモの巣を払いながら藪をかき分けると、その先には見事な大崩落。

 瞬時に自転車は無理と判断し、ここからは徒歩で進む。

 上を見あげればそには先ほど
乗ってきた飯田線の鉄橋が。

 実を言えば行きの車窓からこのあたりの状況の偵察も試みたのであるが、何せトンネルとトンネルの間のほんの一瞬であり、天竜川の水位の事くらいしか分らなかったのが実情である。
 足元には天竜川の水面が。

 時期によっては広大な泥の「湖底」が姿を現すこともある水位変動の大きな天竜川であるが、今日は先日の台風の影響で水位は高く、水は濁っている。

 見た目は怖い崩落地であるが、結構安定しており踏み跡も存在する。
 工マークの掘られたコンクリート杭。

 工マークは言わずとしれた工部省を由来とする国鉄用地を示すものであり、この先もそれを連想させる発見がある。
 崩落地を抜けると、落石は多いながらも比較的安定したダート道に戻る。

 すぐ下に水面が迫るこのあたりの風景は、あの418号通行不能区間を思わせる。

 これは、キロポスト?

 鉄道のキロポストにも似た色使いの木製柱であるが、残念ながら数字等は読み取れずまたこれ以外に同じものが発見されることもなかった。

 飯田線と隠された道

 再び頭上には飯田線。

 今まで何度となく通った事のあるこの小和田〜中井侍間の鉄路ではあるが、時折見える天竜川の眺めや、現役路線では珍しいと思う一部素掘りの隧道は気にしていても、下の道のことは正直頭になかった。
今まで
 目指す高瀬橋まであと2km弱まで迫ってはいると思うが、相変わらず荒れたダート道が続いている。

 この辺りの路肩は見た目荒く積まれた石垣であるが、今になっても殆ど崩れておらず確かな技術を感じさせる。

 
 このまま高瀬橋まで着いてしまうのかと思った矢先にこの大崩落。

 先ほどよりもさらに大規模で、直径1m程はあろうかという落石がゴロゴロしている。 
 ちょっと進んでみるとこの状況。

 崩落はかなり先まで続いており、元々道がどこにあったのかも分らない程である。

 これは少々手ごわいかもしれない。

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